◆「私自身に突き刺さった」舞台でのセリフ

貫地谷:こまつ座さんは、私が役者を始めた時から「一度はこまつ座を通った方がいい」と言われるぐらい、役者として通るべき道だと、先輩方から教えていただいてきた劇団です。そんなこまつ座さんの舞台に、4年前に初めて立たせていただいて、今回また同じ役をできるのがとても嬉しいです。日本を代表する劇作家である井上ひさしさんの偉大な戯曲を、また深掘りできるのがすごく楽しみです。
——井上ひさしさんの作品の魅力を、どんなところに感じますか?
貫地谷:セリフにリズムがあって、耳心地がいいのに、すごくあたたかい。面白おかしいのに、すごく悲しい。悲しいことを面白おかしく描いているというか。一葉は、生きている間に自分で戒名をつけて、「ただ自分は墨をすって書く」「心を死の世界に置いて」と言いながら、ギラギラしているんです。現実世界でもやりたいことがたくさんあって、でもそれが時代的に難しい。女性が何かを始めることが難しい時代の中でのいろんな葛藤が、長ゼリフに込められていて、私自身にも突き刺さってきます。
◆これからの時代、演劇が「さらに大切な役割を担う」
——現代は物事が急速に変化している時代ですが、お仕事への思いに何か変化はありますか?貫地谷:今ってAIが急速に普及してきていて、私自身、課金して使っています。本当に何でも相談できるんですよね。ただ、そういうものがどんどん出てきても、役者という仕事は変わらないものだと、改めて最近思っています。特に舞台は、その空間でしか味わえないエンターテインメントを届けられる仕事です。
今回の作品にしても、明治というのがどういう時代だったのか、後世に伝える役割もありますし、私自身、学校に来てくれた劇団の演劇を見て、とても楽しかったことが心に残っています。これからの時代、さらに大切な役割を担う仕事なんじゃないかと、私は思っています。
<取材・文・インタビュー写真/望月ふみ>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

