なぜヨーロッパ人は「4週間」もバカンスが取れる? 留守宅を守る“無料シェア”の秘密とスイスで見つけた豊かな暮らし

なぜヨーロッパ人は「4週間」もバカンスが取れる? 留守宅を守る“無料シェア”の秘密とスイスで見つけた豊かな暮らし

スイスでのちょっとした庭仕事

さて、今回のスイス滞在に関しても、友人から素敵なアパートを2週間借りることができて実現したもの。彼女は車まで貸してくれたので、本当に貴重な体験ができました。

ただ残念なことに、彼女の家には手入れすべき草花も、刈るべき芝生もありませんでした。手持ち無沙汰になった私が目を付けたのは、建物の入り口にある大きなバラ。それは建物のオーナーのもので、大きく立派に育ってはいましたが、全く手入れされておらず、伸び放題の状態でした。庭仕事をしたくてうずうずしていたので、オーナーの方からバラの木を少し剪定する許可をもらうことにしました。

赤いバラ
建物によく似合う赤いバラ。Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

許可を得た翌日、早速赤いバラの伸びすぎた枝を切り詰め、花がらを取り除き、バラの植え込みの周囲をきれいに整える作業を楽しみました。もう庭仕事を手伝うことについて文句を言うのを諦めている娘の助けもあり、1時間ほどで、以前よりずっとすっきりと整った状態にすることができました。

このちょっとした庭仕事のおかげで、単なる滞在以上の体験ができました。バラの香りを楽しみ、この素晴らしいロケーションの魅力を一層味わうことができたのです。

このバラは、オーナーの方とのコミュニケーションのきっかけにもなり、私たちの成果も喜んでくれました。作業の間、彼女自身は愛らしい1歳の息子さんの世話をしていたのですが、それまで鋭いトゲを持つ枝が低く垂れ下がっていたのに、小さな男の子が怪我をしなかったのは幸運でした!

バラとガーデン
バラのある風景は美しいですが、人が利用するスペースの近くではトゲに注意が必要。Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

作業を始める前に聞いた話ですが、彼女の義父はこの家を訪れるたび、若いご夫婦が特に手入れをせず、伸び放題のバラを見ていつも“大きなショック”を受けているそうです。ご主人の話では、ある年の秋にお義父さんがバラの木をすべて切り詰めたところ、ご近所の人たちから「何かあったの? 大丈夫?」と心配されたそう。でも、その翌年には赤いバラが以前よりも美しく咲き誇り、花数もずっと増えたのだとか。

まさに“魔法使いのお父さん”、熱心なガーデナーですね。

実際、このバラを本格的に剪定するとしたらもっと時間がかかったでしょうが、時期が少し早すぎたので断念。もしバッサリと剪定していたら、ご近所の方々はきっとまた驚いたことでしょう。

スイスの山間の小さな村

スイス
Photo/Elfriede Fuji-Zellner

今回滞在した、「クロワ峠(Col de la Croix)」の山間部に位置し、世界屈指の超高額な寄宿学校を擁する可愛らしい小さな村は、標高1,000メートルを超える高地にあります。村の入り口にはタチアオイが青い花を咲かせ、バス停には立派に育ったラベンダー、そしてたくさんの赤い花を咲かせるゾナル系ゼラニウムとアイビーゼラニウム……。真っ赤なゼラニウムは、暗色の木造家屋や、時折牛や子牛がのんびりと草を食む緑の牧草地を背景に、とても美しく映えていました。

ペラルゴニウム
Photo/Elfriede Fuji-Zellner

ゼラニウムは昔ながらの夏の定番花で、とても丈夫。暑さだけでなく、やや低温にも耐えられます。ドイツやオーストリアでよく栽培され、赤系、あるいは白系の中間色が街並みによく似合います。ちなみに、ゼラニウムという名前はついていますが、現在はペラルゴニウム属に分類されています。

ペラルゴニウム
Photo/Elfriede Fuji-Zellner
ヨーロッパの景観
ゼラニウムはヨーロッパの夏を彩る伝統的な花。Photo/Elfriede Fuji-Zellner

山間の村へ車で向かう道は、急カーブや道幅の狭い箇所が多く、なかなかの難所です。牧草地の柵が道路のすぐそばまで迫っているため、突然、車の目の前に牛が顔を出すこともありました。ガードレールがない場所も多く、ハンドル操作を一度でも誤れば、急勾配の斜面を転がり落ち、止まる術もありません。かなり恐ろしい道でしたが、それでもバスがこの長く急峻な曲がりくねった道を、一日に何度も往来していました。

村には手つかずの美しい景色が広がり、細い電気柵のワイヤーで区切られた牧草地と道路の境界はほとんど見分けがつきませんでした。

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