◆人違いから始まった“夢の球場”での忘れられない一日
女性は試合後、近くのレストランで夕食をご馳走してくれ、宿すら予約していなかった私を町のモーテルまで送ってくれた。歩くかヒッチハイクでもしようと思っていたのに、ふたを開けてみれば、人違いをきっかけに“夢の球場”から交流試合、夕食、モーテルまでつながったのである。
その日はほとんど歩いていない。タクシー代どころか、町での移動費は一切かからなかった。
何とも都合のいい人違いだったのだ。
あれから31年。今では、あの場所を舞台にしたメジャーリーグの公式戦を、世界中の人がNetflixを通して見る時代になった。
あの日、日本から来た高校球児に間違えられなければ、私が覚えているフィールド・オブ・ドリームスの一日は、まったく違うものになっていたのかもしれない。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

