
ブログメディア「note」に書き綴ったイギリスでの暮らしと、まだ何者でもなかったころに自分と向き合い、言葉にしたエッセイを、昨年5月に電子書籍として発表して、大きな反響を呼びました。その後、大幅な加筆、改稿を重ねた初エッセイ集『星降る庭、愛の音』を今年6月に出版。著者のラムズデール昌栄さんが暮らすのは、テムズ川のほとりにある小さな町。「渡英した30代前半には英語もうまく話せず、友だちもいない、仕事もない。そんな不安を抱えたまま息子を出産し、夢中で子育てをしました。この冬でちょうど20年になります」と昌栄さん。自分に自信が持てなくて殻に閉じこもっていた昌栄さんが、心を解放できたきっかけは、「書くこと」でした。
イギリスで見つけた暮らしにまつわるヒントや、心の葛藤、森に自生する植物や星のめぐりなど、自然界との対話から生まれた言葉についてお聞きしました。
クーラーのないイギリスの夏。家中の窓を全開にして風を通す
暑い夏でも屋外で過ごすのが好きなイギリス人は、庭でランチやアペロを楽しむ。日本よりは気温が低いため過ごしやすい。
気候変動の影響でこの夏、ヨーロッパでも35℃以上の猛暑日が続きました。
「イギリスの一般家庭にはクーラーはありません。真夏の暑さ対策は、朝のうちに家中の窓とドアを開け放ち、涼しい空気を入れます。そして、太陽が高くなる前にブラインドとシャッターをぴったり閉じて部屋を薄暗くしておくのです。暑さで寝苦しい夜は、大判の麻のストールを広げて、その上で寝転ぶと気持ちよく眠れます」(昌栄さん)。
日課の「森ぽ」。森を歩くと、自分の中心とまっすぐつながれる
昌栄さんのお宅から歩いて数分で、鬱蒼と木々がしげる森がある。夏でもひんやりとして気持ちいい。
夕暮れどきになると、愛犬のテディちゃんを連れて近所の森へ散歩(略して「森ぽ」)に出かけるのが日課。「家から歩いて数分で森につながる小道があります。普段は毎日20分ほど、時間があるときは1時間くらいかけて歩きます。森を歩いていると、自分の中心とまっすぐつながれるような感覚があります。自然界の声が聴こえてきて、守られているという安心感に包まれます。余分なものが祓われ、リセットとチャージをしてもらえるような大切な時間です」(昌栄さん)。
エッセイ集にも、「森ぽ」の描写が出てきます。とりわけ夏至の神秘的な森のエピソードは、必読です。

