
同じ不動産購入のための融資でも、「住宅ローン」と「アパートローン」では金利も審査の考え方もまったく異なる。住宅ローンが低金利かつ短期間で承認される一方、アパートローンは事業性融資として「収支」と「担保評価」という二つの物差しで厳しく審査される。両者の違いの背景と、アパートローン特有の担保評価の仕組みを、具体的な計算例とともに解説する。
住宅ローンとアパートローン、共通点と大きな違い
住宅ローンとアパートローンの共通点は不動産の購入資金に対する融資である点です。いずれも土地・建物という不動産そのものを担保とする点、また借入期間が数十年単位に及ぶ長期融資である点も共通しています。
一方で、その内容は大きく異なります。最も大きな違いは資金使途です。住宅ローンは借入人自身が居住するための不動産取得を目的とするのに対し、アパートローンは第三者に貸し出して家賃収入を得る、いわば「事業」のための資金調達です。
この使途の違いは、金利水準や審査の仕組みにも直結します。住宅ローンは生活基盤の取得という性質上、政策的にも低金利かつ迅速な審査が図られている一方、アパートローンは事業性融資として、物件から得られる収益力(収支)や、返済が滞った場合の担保価値(保全)といった、より踏み込んだ審査が行われます。
以下、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
住宅ローンとは
住宅ローンは文字通り「居住用」としての不動産取得に関する融資であり、金利もアパートローンに比べて低い水準です。
生活に不可欠な「衣食住」のうち「住」に該当するため、その生活の基盤として不可欠な資産であって過度に高金利であれば生活に支障が生じます。
したがって、国民の住生活の向上を図ることを目的とした政府が出資する住宅金融支援機構が存在し、フラット35などの商品を通じて低利かつ長期の融資を行っています。これに追随するように民間の金融機関も低金利で融資を行っていますが、民間の金融機関では住宅ローンを入り口として生活口座を開設してもらい囲い込みをしたいとの思惑もあります。
住宅ローンの借入申込に伴い給料振込口座を変更して欲しいとの申し出を受けたことがないでしょうか。
昨今の政策金利上昇により金融機関から見た融資環境は好転しており、各金融機関では預金集めを積極的に行っています。普通預金の金利と貸出金利の利ザヤが広がっており、多くの預金を集めて貸し出しに回すことで金融機関の収益を拡大することができるためです。
また、給料振込口座とローン返済口座が同じ金融機関となることでローン回収のリスクを低減させることも目的としています。
このように、住宅ローンは生活の基盤となる住宅を購入するための融資であることから、他のローンに比べて低金利であって、かつその借入人の金融資産を囲い込むことを目的としているため住宅ローンのみの採算によらない取引の「ドアノックツール」としての側面も有しています。
また、ローンの審査にあたっても主に給与に対するローンの返済比率で検討するため審査時間も早く融資承認が得やすいというのも特長です。余談ですが、仮にローン審査が通らないとすれば、個人信用情報を金融機関が取得した際に他にローンがあり返済が滞っているようなケースが該当します。
