朝食抜きの子どもが増えている?
子どもが朝食を食べないという悩みはよく聞きますが、そもそも朝食抜きの子どもはどのくらいいるのでしょうか?昔に比べて増えているのかどうかも、気になるところです。子どもの朝食に関する過去10年間の動向を見ていきましょう。
10年間の調査結果は大きな変動なし
2020年6月に農林水産省が公表した「令和元年度 食育白書」によると、「毎日朝食抜き」や「ときどき朝食を抜く」小・中学生の割合は小学生で4.6%、中学生では6.9%です。
2010年には小学生3.6%・中学生6.7%という調査結果が出ており、当時に比べると若干増えていますが10年間の推移を見ると大きな変動はありません。
中学生になると欠食率が少し増えるものの、小学生・中学生ともにほとんどの子どもは毎日朝食を食べているようです。
出典:令和元年度 食育白書(令和2年6月16日公表):農林水産省
朝食を食べない理由
一生懸命に用意した朝食を食べてくれないのは、親にとってはつらいものです。しかし大人も食欲がない日があるように、子どもにも朝食を食べられない理由があります。
理由がわからないまま食べさせようとしても、朝食抜きの解決にはなりません。まずは子どもにありがちな、朝食を食べない理由を見ていきましょう。
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起きてすぐだから
子どもの胃腸は大人よりも未熟なため、目が覚めてから食事を受け付ける準備が整うまでに時間がかかります。起きてすぐの時間は頭もぼんやりしていて、自分が空腹かどうかもはっきりとわかりません。そのため、起きたとたんに朝食を出されても、食べられないのです。
30分ほど経てば胃腸が目覚め、頭も働くようになります。いつも起きてすぐに食べさせようとしている人は、「朝食時間の30分前」に起こしてみるとよいでしょう。
寝る時間が遅いから
寝る時間が遅い子どもは、朝は眠くて朝食どころではありません。寝る時間が遅くなる原因には、昼寝のし過ぎや夜遅くまで塾・習い事に追われる多忙な生活が考えられます。
親の帰宅時間が遅く、夕食の時間がずれ込むのも寝る時間が遅くなる一因です。夜遅くまで起きているとお腹が空いて、つい間食をしがちです。
寝る前の間食や遅い夕食は朝までに消化しきれないため、朝食を食べられなくなります。夕食は「寝る2時間前」には済ませ、夜更かしをさせないように生活を見直してみましょう。
親が食べないから
親に朝食抜きの習慣があると、子どもも朝食の必要性がわからず、食べなくてもよいものと思うようになります。パパやママが忙しそうに身支度などをしているなか、1人で食べるのも寂しいものです。
元々朝食を食べる習慣がない大人も、飲み物くらいは口にするはずです。子どもに食べさせるときは、飲み物を手に一緒に食卓を囲むようにしましょう。食べ終わるまで一緒にいて会話してあげれば、子どもも毎朝の食事が楽しみになります。
どうして朝食が必要なの?
子どもが朝食を食べない日が続くと、食べさせるのを諦めたくなるかもしれません。しかし朝食は、成長期の子どもにとって欠かせない大切なエネルギー源です。朝食抜きがよくないのはなぜなのか、朝食が果たす役割を具体的に見ていきましょう。
エネルギーの補給
人の体は睡眠中もエネルギーを使います。夕食で摂取したエネルギーは寝ている間に消費され、朝起きるころには残り少なくなっています。
特に脳の活動に必要な栄養素「ブドウ糖」が不足すると、頭はもちろん体も上手く働きません。勉強に集中できなくなったり、運動中にめまいやふらつきを起こしたりすることもあります。
ブドウ糖はグリコーゲンの形で肝臓に蓄えられますが、貯蔵できる量は多くても12時間分とされています。このため、朝食を抜いてしまうと、昼食までにエネルギー切れとなってしまうのです。
体温を上げる
食べ物を食べると、食材を分解して吸収する際にエネルギーを消費します。このとき熱が発生し、体温が上がる仕組みです。
朝食には寝ている間に下がった体温を上げ、脳や体の働きを活性化する役割があります。朝起きたときにやる気が出ないのは、睡眠中に下がった体温が上がりきっていないからです。
人は体温が下がると、体の動きを小さくしてエネルギーを節約しようとします。体温が低いままではいつまでもエンジンがかからず、活動的になれません。朝食を食べれば体温が上がり、しっかりと活動できるようになります。
排便リズムを整える
排便のリズムを整えるためにも、朝食は欠かせません。学校や園では自分のペースでトイレに行きにくく、排便を我慢することも多くなります。自然な排便ができないと、腹痛を起こしたり便秘になったりする可能性もあり、注意が必要です。
便の多くは、睡眠中に大腸で作られます。朝食を食べることで胃や腸が刺激されるとともに、大腸にも排便の反射が起こって夜中に溜まった便が出やすくなる仕組みです。
朝食を食べてくれない子どもへの対策
朝食の大切さをいくら子どもに言い聞かせても、食欲がなければ食べることは難しいものです。生活リズムの見直しなど、子どもが自然に朝食を食べられるようにする方法を解説します。
早寝早起きさせる
起きてから30分くらいは、脳も胃腸も動きが鈍く朝食を食べる態勢にありません。特に、夜遅くまで起きていて寝不足の場合は、目覚めてからしばらく経っても、まったく食欲がわかないこともあるでしょう。
夜は早く寝て、朝は余裕を持って起きることで体がしっかり目覚め、朝食を食べる準備が整います。ただし、夜更かしをしがちな子どもを早く寝かせようとしても、なかなか寝てくれないものです。
「決まった時間に消灯して布団に入る」「寝る時間が遅くなっても朝は必ず起こす」など、早寝早起きに向けた習慣を設けるとよいでしょう。
食べる前に軽く体を動かす
夕食を食べ過ぎたり遅い時間に食べたりすると、起きたときにお腹が空いていないため朝食を食べられません。目覚めたばかりで胃腸が動いていない状態では、余計に食欲がわかないでしょう。そんなときは、朝食の前に体を動かすのがおすすめです。
ママが朝食を準備している間に、ラジオ体操や子ども番組のダンス、掃除のお手伝いなど、軽い運動をさせてみましょう。時間があればペットの散歩やゴミ出しなどをして、外の空気に触れさせるのも有効です。
パパと一緒にウォーキングなどをすれば、親子の語らいの時間も増えるでしょう。運動や外気に触れることにより体が目覚め、ほどよくお腹が空いてきます。
食べやすく工夫する
平日の朝は何かと忙しいため、食事に手間取ってしまうと子どもも大変です。「早く食べなさい」などと言われると食べるのが面倒になって、残してしまうこともあります。
子どもが時間をかけずに食べられるように、メニューを工夫してみましょう。ご飯はひと口サイズのおにぎりに、パンは小さなサンドイッチにすると食べやすくなります。
シリアルに牛乳をかけたものやフルーツヨーグルトも、食べやすくて人気のメニューです。食べるのに時間がかかるサラダは、野菜ジュースで代用してもよいでしょう。
朝食を用意する時間がないときは、残り物のシチューやカレーにパンを添えるだけでもOKです。ママの負担が軽くて子どもが食べやすい食事なら、親子ともに気が楽になり楽しく食べられます。
まとめ
朝食を抜くと脳のエネルギーが不足したり、体温が上がらなかったりして元気に活動できません。朝食抜きの習慣が続けば集中力が低下し、運動能力や学力に影響を及ぼすおそれもあるでしょう。
朝食抜きは「夜は早く寝て朝は早く起きる」など、基本的な生活習慣を身につけることで改善できます。朝食が子どもの負担にならないように、食べやすく工夫するのも有効です。毎日を元気いっぱいに過ごせるように、正しい朝食の習慣を身につけさせてあげましょう。