離婚のために別居するメリット・デメリットと注意点を弁護士が解説

離婚のために別居するメリット・デメリットと注意点を弁護士が解説

5、離婚前に別居をした場合の親権について

離婚前の別居は、やり方次第で子供の親権を獲得できるかどうかに大きな影響を及ぼします。

ここでは、親権を獲得するための離婚前別居の正しいやり方をご紹介します。

(1)子供を置いて出て行った場合、親権は獲得可能か

あなたが子供を置いて家から出て行ってしまうと、親権者争いでは不利になってしまう可能性があります。

なぜなら、離婚する際に夫婦のどちらを親権者とするかを判断する際には、「現状維持の原則」が重視されるからです。

現状維持の原則とは、両親が離婚しても、子供の養育環境はできる限り変更しない方が望ましいとする原則のことです。

したがって、別居後に子供を連れている側の方が親権争いでは有利になります。

その状態で別居期間が長引けば長引くほど、その傾向が強まっていきます。

(2)離婚後に親権を獲得したい場合の離婚前別居の正しいやり方

離婚後に親権を獲得したいなら、別居に際して以下の方法をとることをおすすめします。

①子を置いて行く場合

親権を獲得するためには、子供とのつながりを切らさず、深めていくことが重要です。

そのため、子供をパートナーのもとに置いていく場合でも、折に触れて子供に会うべきです。

パートナーが会わせてくれない場合は、家庭裁判所へ「面会交流調停」を申し立てましょう。

ただ、別居を開始するときに子供を置いて行かざるを得ないとしても、できる限り早めに子供を引き取る方が得策です。

別居後の生活が落ち着いたら、パートナーに子供を引き取りたいと申し出て、話し合いましょう。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所へ「子の監護者の指定調停」を申し立てることで、子供の引き取りを求めることもできます。

②子を連れて行く場合

子供を連れて行く場合は、原則として事前にパートナーと話し合って同意を得るべきです。

話し合いが進まない場合は、「子の監護者の指定調停」で合意を求めることができます。

なお、パートナーが子供を虐待している場合は、同意なく子供を連れて行ったとしても違法とは評価されません。

6、専業主婦(収入が少ない主婦)はどこを別居先にする?

専業主婦などで収入が少ない方は、別居先の確保に苦労することもあるでしょう。

ここでは、別居先を決めるためのヒントをご紹介します。

(1)実家

両親などがいる実家に頼れる場合は、実家に戻るのもよいでしょう。

実家であれば家賃がかかりませんし、生活費を援助してもらえる可能性もあるでしょう。

精神的にも落ち着けるでしょうし、大きなメリットがあるといえます。

また、両親が健在であったり、兄弟が実家に住んでいるような場合には、子育てを手伝ってもらうことも期待できます。

自分一人で子供の面倒を見る場合よりも養育環境が整っているといえますので、親権者争いでも有利になります。

(2)賃貸

実家に頼れない場合は、賃貸住宅を借りることになるでしょう。

その場合、毎月の家賃の負担だけでなく、敷金や礼金、連帯保証人なども用意する必要があります。

最近では敷金・礼金不要の物件も増えてきていますが、そういった物件では退去時に高額の費用が発生することもあります。

契約条件を十分に確認して選ぶようにしましょう。

また、最近では連帯保証人を用意するのではなく、家賃保証会社の利用を求める物件が増えてきています。

連帯保証人不要で借りられるのはメリットですが、保証料を支払えるかどうかを確認しておかなければなりません。

なお、UR賃貸や公営住宅なら連帯保証人や仲介手数料などが不要ですので、まずはこういった物件に申し込んでみるとよいでしょう。

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