マネーロンダリングとは?企業が知っておくべき7つのこと

マネーロンダリングとは?企業が知っておくべき7つのこと

5、マネーロンダリングで成立しうる犯罪と刑罰

マネーロンダリングに関わると犯罪が成立し、処罰の対象となることがあります。

そこで、マネーロンダリングでどのような犯罪が成立するのか、どれくらいの刑罰を科せられるのかを知っておきましょう。

(1)組織的犯罪処罰法違反の罪

マネーロンダリングで成立しうる「組織的犯罪処罰法の罪」は、以下の3種類です。

     罪名・罰条    

         規制される行為         

         刑罰         

法人等事業経営支配罪

(第9条)

 

犯罪収益等で株主等の地位を取得し、その法人の経営を支配する目的で役員の変更等をさせること等

5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方

犯罪収益等隠匿罪

(第10条)

 

 

犯罪収益等の取得や処分の事実を仮装すること、犯罪収益等を隠すこと、犯罪収益の発生原因を仮装すること等

5年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方

 

犯罪収益等収受罪

(第11条)

 

犯罪収益等であることを知りながら、その金品を受け取ること

 

3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方

(2)犯罪収益移転防止法違反の罪

マネーロンダリングに関わることで、「犯罪収益移転防止法違反の罪」に問われることもあります。主な罪名と刑罰は、以下のとおりです。

     罪名・罰条    

         規制される行為         

         刑罰         

報告義務違反等

(第26条)

 

 

行政庁等への報告や資料の提出を拒むこと、虚偽の報告や資料提出を行うこと、立ち入り検査を妨害すること等

1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方

 

本人特定事項等を偽る罪

(第27条)

特定事業者が、取引時確認を行う際に顧客等または代表者等の本人特定事項を偽ること

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方

預貯金通帳等の譲渡等の罪

(第28条)

 

他人になりすまして特定事業者と預貯金契約を結ぶこと、預貯金通帳やキャッシュカードを正当な理由なく譲渡、または譲受すること等

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方

 

為替取引カード等の譲渡等の罪

(第29条)

為替取引にかかる受取用カードや受取に必要な情報等について、第28条と同様の行為をすること

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方

暗号資産交換用情報の譲渡等の罪

(第30条)

暗号資産交換契約に関して、第28条と同様の行為をすること

 

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方

6、マネーロンダリングに対して企業がやるべき対策

マネーロンダリングに巻き込まれないために、企業がやるべきことは数多くありますが、骨組みを示すと、以下のようになります。

(1)マネロンに関する知識を深める

まずは、マネーロンダリングとはどういうものかを正確かつ詳しく知ることが必要です。

マネーロンダリングに関する情報は、次々に新しいものが発表されるので、インターネットで確認するとよいでしょう。

JAFIC(警察庁 犯罪収益移転防止対策室)のホームページは、更新頻度が高いので、チェックすることをおすすめします。

参考:JAFICトップページ

(2)自社におけるリスクを洗い出す

具体的なマネロン対策としては、まず、自社の事業において、どのような場面で、どういったリスクが発生しやすいのかを洗い出します。

重点的に検討すべき事項は、特定事業者か否かによって大きく異なりますし、業種によっても異なります。自社の業種や事業内容、取引先や社内の状況に応じて、リスクを洗い出しましょう。

(3)リスクを社内に周知する

リスクを洗い出したら、そのリスクを社内全体に周知することが不可欠です。

経営者や役員のみがリスクを知っていても、マネーロンダリングを防止することはできません。

必ず、現場担当者もリスクを明確に理解できるように、周知を徹底しましょう。

(4)現場担当者が「疑わしい取引」を検知できるようにする

実際に「疑わしい取引」に接する可能性があるのは、現場担当者です。

したがって、現場担当者が、疑わしい取引を検知できるようにするための仕組みを構築する必要があります。

取引先の属性や取引の内容などについて、どういった事項を、どのような資料で確認すべきかについて、社内ルールを策定するなど、さまざまな対策が考えられます。

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