アルハラとは?5つの定義や刑事罰のリスク・具体的対策について解説

アルハラとは?5つの定義や刑事罰のリスク・具体的対策について解説

5、アルハラにより個人や会社が負う責任

ここからは、アルハラにより、アルハラ行為をした個人や会社が、どのような責任を負う可能性があるかについて、見ていきましょう。

(1)刑事責任を問われる可能性

「ただの飲み会ごときで大げさな…」と感じるかもしれませんが、お酒の場でのアルハラ行為は、刑事責任にまで発展する可能性があります。

お酒を無理やり強要することは強要罪
お酒を強要して部下が酔い潰れた場合には傷害罪

などに該当する可能性があります。

また、飲酒が原因で、部下が倒れたのに、救急車を呼ばず、そのまま死亡させた場合には、保護責任者遺棄致死罪に該当する可能性があります。

(2)民事責任を問われる可能性

刑事責任だけでなく、アルハラ行為は民事責任を問われる可能性もあります。

お酒を強要した本人は不法行為責任
企業は使用者責任を負い、損害賠償の支払義務

などが発生する可能性がありますので、十分注意しましょう。

(3)従業員の離職のきっかけや訴訟の原因になることも

アルハラが原因で、従業員が離職することとなったり、刑事責任や民事責任が問われなかったとしても、深刻な事態になったりすれば、メディアで報道され、企業イメージが低下することもあり得ます。

一度低下した企業イメージを取り戻すには、莫大な時間と労力が必要になりますので、酔った勢いでアルハラ行為をしないよう、十分な対策が必要となります。

6、アルハラの2つの判例〜事件の流れや訴訟の結果について

続いて、アルハラ行為により、訴訟に発展したケースを具体的に見ていきましょう。

(1)ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル事件

ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル事件(東京高裁平成25年2月27日判決)は、ホテル経営会社Y1に雇用され、営業本部セールスプロモーション部門に所属し、休職期間満了による自然退職扱いとされた従業員Xが、上司Y2からパワハラを受けたことにより、精神疾患等を発症し、その結果、治療費の支出、休業による損害のほか多大な精神的苦痛を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償の支払を求めるとともに、この精神疾患等は業務上の疾病だとして、地位確認及び賃金支払を求めた事案の控訴審判決です。

この事件では、アルコールに弱い体質のXに対し、上司Y2が飲酒を強要したこと等がパワハラであるとして、不法行為に該当し、違法であると認定されました。

その結果、上司Y2個人の不法行為責任だけでなく、会社Y1の使用者責任も認められました。

(2)神戸学院大学飲酒学生死亡事件

神戸学院大学における部活動の合宿において、当時ユースホステル部の2年生部員であった20歳の男子学生が、上級生らから心理的な圧力をかけられ飲酒を強要されました。

3年生が、4リットルの焼酎を2年生13人で飲み干すよう強要し、被害学生は、急性アルコール中毒で倒れ、翌朝まで病院へ搬送されず、死亡しました。

男子学生の両親が、神戸学院大学と当時の学生20人に損害賠償を請求し、大学と学生が、飲酒の強要があったことを認め、

大学が見舞金
学生が和解金

をそれぞれ支払う合意内容で、神戸地裁において和解が成立しました。

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