災害時の車中泊避難のポイント。エコノミークラス症候群にご注意を!

災害時の車中泊避難のポイント。エコノミークラス症候群にご注意を!

車中泊避難などによるエコノミークラス症候群でできた血栓は 直後から数年にわたって

多くの人が、車中泊避難をすることになった2004年に発生した新潟県中越地震。発災から8日後には、エコノミークラス症候群による肺塞栓症で亡くなった方が出たことが、大きく報じられました。亡くなった方は、7人。全員が女性で、うち6人は50歳以下。7人全員が、夜間にトイレに行っていなかったという調査結果があります。

また、2016年に発生した熊本地震では、本震発生から2日後までに少なくとも18人が肺塞栓症を発症し、全員が車中泊避難をしていました。本震4日後に、亡くなった方が出たことが報道されるまで、発症した方が増え続けたという報告もあります。

新潟県中越地震で避難生活をしていた人たちを対象に、発災から2年後の2006年に実施された検査では、検査を受けた人のうちの約4.7%に血栓が見られました。発災の翌年、2005年に血栓が見つかった人の4人に一人は、血栓が残り続けていたという調査結果もあります。

車中泊避難によるエコノミークラス症候群でできた血栓は、災害発生の翌日から5日後が発症のピークで、数年にわたって血栓が残り続けることになると言えるでしょう。一度できた血栓は、消えにくいのです。
しかし、報道などによる注意喚起で発症が減少することから、車中泊避難もしっかりとエコノミークラス症候群の対策をとりながら行えば、リスクを下げられるとも言えるはずです。

車中泊避難は最低限の期間で

アウトドアレジャーでキャンプを楽しむ方の中には、「車中泊には慣れている」という方もいらっしゃるかも知れません。キャンプ初心者でも、車の中で寝ることにすれば、テントを張ってテントの中で寝るよりも、手間もかからずラクに感じるでしょう。
しかし、そうしたレジャーの中での車中泊に慣れていたとしても、災害時の車中泊避難は精神面でも置かれる環境なども大きく違います。
アウトドアレジャーでの車中泊は、事前にしっかりと準備をして、1泊〜数泊と期間を決めて行うはずです。BBQをして食事をとったり、キャンプ場の施設を利用したり、楽しいことがたくさんある中での車中泊です。
しかし、災害時の車中泊避難は、多くの場合、着のみ着のまま突然避難生活が始まります。アウトドアレジャーで車中泊するときのようは準備もしっかりとできませんし、車中泊する期間も先が見えないこともあり、精神的にも大きなストレスを伴います。

車中泊避難は、長期間にわたって行わず、災害時に自宅に残ることは危険で、避難所などにも入ることができないような、本当にやむを得ない場合にだけ一時的に行うものだと考えておきましょう。
内閣府や自治体などから提案されている「分散避難」に車中泊も挙げられていますが、積極的に車中泊避難を推奨しているわけではありません。車中泊避難のポイントも、車中泊避難を推奨しているわけではなく、少しでもエコノミークラス症候群のリスクを下げ、避難している期間をできるだけ安全に過ごすことができるためにということが、大前提です。

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