災害時の車中泊避難のポイント。エコノミークラス症候群にご注意を!

災害時の車中泊避難のポイント。エコノミークラス症候群にご注意を!

やむを得ず「車中泊避難」する時のリスクを少しでも減らすためのポイント

車中泊避難をしたら、できるだけ安全なところに車を停めましょう。自治体によっては、グラウンドなどの広い避難場所を車中泊避難者用に提供されることもあります。
車を駐車するときには、傾斜地を避けて、なるべく明かりや人通り、そしてトイレのある場所にしましょう。傾斜地に駐車せざるを得ない時には、タイヤに踏板をかませて、忘れずにサイドブレーキをかけましょう。

夏場であれば熱中症のリスクを下げるために、日陰を選びましょう。
また、マフラーを塞がれてしまうと一酸化炭素中毒になる危険性があります。そのため、壁や草にふさがれることが無いかの確認が必要です。冬場で積雪があるような場合には、除雪しやすい場所であることも条件の一つです。

安全な場所に車を停めたら、防犯のためにドアをロックし、エンジンを止めて車中泊します。命の危険を伴う(熱中症や低体温症など)場合を除いて、車中泊するときの基本的は、アイドリングストップです。

こうした基本をおさえたうえで、車中泊避難で少しでも快適で安全にすごすためのポイントは、3つです。

車内をフラット(水平)にすること
座席をそのままにして寝ると、エコノミークラス症候群を発症するリスクが高まります。後部座席からラゲージを連結させてフラットにできるタイプの車種は、最前列のシートを一番前までスライドさせて、フラットにした後部座席からラゲージのスペースで休むようにしましょう。マットや毛布、タオルやクッションなどを敷くことで、いくぶんか過ごしやすくなります。
前席のシートで休む場合には、座面は一番後ろまでスライドさせて、背もたれは最大までリクライニングさせます。足元のスペースは段ボールや蓋つきの収納ケースなどで埋めて、その上にタオルなどを置いて座席とフラットになるように調整します。寝るときには、なるべく足を上げて眠るようにしましょう。

暑さ対策・寒さ対策をしっかりと
車中泊避難の基本は、アイドリングストップです。夏の熱中症リスクが特に高くなるときには、周りに配慮しながらエアコンを使うことも必要になってくるかも知れませんが、サンシェードで日差しを遮ったり、ウインドーネット(車用網戸)を取り付けて風を通すなどの工夫は必要です。ただし、ウインドーネットを使用するなどして窓を開けたままにする場合には、防犯上の注意は必要です。冬の車中泊避難では、寒さ対策も大切です。毛布や寝袋など、防寒対策のためのアイテムを車に積んでおくようにしましょう。

防犯・プライバシー保護対策
エコノミークラス症候群などの健康状態に直接関連することではありませんが、車中泊避難をする時には、防犯対策やプライバシーを守るための対策も大切です。車中で過ごしている間も、必ず鍵をかけるようにしましょう。窓の外から覗かれないように、窓にサンシェードや銀マットを貼り付けたり、アシストグリップ(助手席や後部座席の上部に取り付けられている握り手)にロープなどを渡してタオルをかけるなどして目隠しすることが必要です。車用の目隠しカーテンも市販されています。窓に目隠しを施すことは、夏の日よけ対策や冬の防寒対策も兼ねられます。また、深夜にトイレに行く時などは、なるべく一人にならないように、ご家族などと連れ立って行動するようにしましょう。

車の中には、日頃から、クッションや毛布、ウインドーネット、寝袋、銀マット、洗濯ひも、携帯トイレや除菌シートなどを段ボール箱や蓋つきの収納ケースなどに入れて積んでおくと、いざという時に役立ちます。着圧ソックスが、エコノミークラス症候群の予防に効果的です。車の中に備えておく防災グッズに中に加えておきましょう。

車中泊避難によるエコノミークラス症候群を予防するために

エコノミークラス症候群は、狭い空間で同じ姿勢を続けることで血液の流れが滞ったり、水分の摂取を控えて脱水傾向となることで血液が固まりやすくなったり、避難時の打撲などで血管が傷つくことで発症のリスクが高まります。
車中泊避難するときには、こまめな水分補給をすることはもちろん、衣類で身体を締め付けないようにゆったりとした服装で過ごすようにしましょう。また、数時間おきに外に出て歩いたり、軽い体操やストレッチ運動をすることも効果的です。ふくらはぎをマッサージしたり、足の指でグーパーを繰り返したり足を上下につま先立ちをしたり、ひざを両手で抱えて足の力を抜いて足首を回すといった運動も、エコノミークラス症候群の予防になります。
普段、お酒やタバコを嗜む方は、車中泊避難中は、飲酒は控えて、できれば禁煙するようにしましょう。

避難することで命を危険にさらさないように、やむを得ず車中泊避難しなければならなくなった時には、エコノミークラス症候群の予防を始め、しっかりと安全対策をとることが大切です。

参考資料

熊本県益城町 平成28年熊本地震益城町震災記録誌

医学会新聞 災害後のエコノミークラス症候群対策(榛沢和彦)

厚生労働省 エコノミークラス症候群の予防のために

Medical Noteエコノミークラス症候群

朝日新聞(2007年7月23日)エコノミークラス症候群、6人の1人は兆候 中越沖地震

安全安心情報 震災時のエコノミークラス症候群を考える

豊田市 車中泊避難ハンドブック

トヨタ災害復旧支援 車中泊避難ヘルプBOOK

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私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?
私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?