奇跡は、本当に「奇跡」なのか
東日本大震災での「釜石の奇跡」と、長野県神城断層地震の「白馬村の奇跡」。どちらも共助によって多くの人の命が救われたエピソードですが、どちらも単純な奇跡ではないはずです。
自助・共助の下地となる、地域の人たちの日頃からの防災への取り組みがあったからこそ、なし得たことでしょう。
「釜石の奇跡」を生んだ釜石東中学校では、年間5〜10時間の防災授業が行われていました。登下校時の避難計画を自ら立てたり、津波の脅威から災害後のボランティア活動などを学びながら、避難3原則として、「①想定にとらわれない②状況下において最善を尽くす③率先避難者になる」ということを身につけていました。また、年に1回は、鵜住居小学校との合同訓練を実施し、「小学生を先導する」「まずは高台に逃げる」という教えが徹底されていました。
「白馬の奇跡」を生んだ白馬村の堀之内区では、震災前に「災害時住民支え合いマップ」を作成していました。2005年から始まった取り組みで、ご高齢の方や障がいのある方、外国人などの情報の入手や自力での避難が難しく支援が必要な人たち(要配慮者)を守るために、配慮が必要な人の家や「ご近所がとりあえず避難できる安全な場所」「災害時に頼りになりそうな地域の人材」「公共施設、福祉施設、医療施設、井戸、消火栓などの“使える施設”」などを記入したマップを作成して地域の中で共有し、マップに基づいた避難訓練も実施されていました。
日頃からのこうした取り組みが、非常時にはしっかりと活かされ「奇跡」といわれる共助につながる行動を地域の人たちは取れたということです。
ここまでは、過去の災害での「共助」の事例などをいくつかご紹介しました。
後編では、災害時に共助に取り組みやすいように、私たちが日頃からできることをご紹介します。
参考資料
内閣府防災情報のページ 平成26年版防災白書 特集 第2章 1大規模広域災害時の自助・共助の例
朝日新聞デジタル 阪神大震災、6434人が犠牲 8割が建物の下敷きに
内閣府 防災情報のページ 特集 東日本大震災から学ぶ〜いかに生き延びたか〜
配信: moshimo ストック
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