総合学習
ここからは、「総合学習」の醍醐味を紹介します。「総合学習」は「総合的な学習の時間」を短く呼称したものだと考えられがちですが、実はそうではないと私は考えています。「総合的な学習の時間」(高校では「総合的な探究の時間」)は、例えば国際理解や環境、健康・福祉などの様々な課題に対して探究的な見方・考え方を働かせて、横断的・総合的に学習するために設定された「時間」のことです。現在の学習指導要領では、小学校3年生から6年生が年間70単位時間、中学1年生が年間50単位時間、2・3年生が年間70単位時間です。高校の「総合的な探究の時間」の標準単位数は3~6と定められています。その時間の中で子どもたちは、「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決していく」(※)のです。その学習の方法が「総合学習」と言われるものです。ですから、「総合学習」は「総合的な学習の時間」の中だけではなく、修学旅行のような特別活動や教科の時間にもできます。
※『今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開』(文部科学省、令和3年3月)
本物と出会わせる「総合学習」
防災学習には「本物との出会い」が必要です。子どもたちは現地に来てその風景や人々の姿、匂い、音、風から何かを感じ、体験者の話を聞いて「もし私なら」と追体験的に考えます。過去の災害に自分を置いて、現在の自分ならどうするだろうと考えているのです。出会いの中で疑問を抱き、課題を見つけて持ち帰り、それを理解しよう、解決しようという目的を持って調べ、考え、話し合い、まとめていきます。最終的には発表しますが、それはゴールではありません。自分たちの発表への先生や友だちからの評価、そして友だちの発表への評価やそこからの学びは、次の課題発見へとつながっていきます。「本物との出会い→課題設定→課題解決学習→発表→課題発見→課題設定→課題解決学習…」と無限に続いていくのです。
防災学習ではこんな学びのプロセスを体験します(するはずです。ぜひさせてください)。その中に長田のまち歩きがきちんと組み込まれているとしたら、うれしいですね。
配信: moshimo ストック