信書開封罪とは?郵便物を開封しただけで処罰される理由と事例

信書開封罪とは?郵便物を開封しただけで処罰される理由と事例

3、信書開封罪は親告罪

信書開封罪は、親告罪になっています(刑法第135条)。

親告罪とは、被害者からの告訴がなければ起訴されない犯罪のことです。

つまり、信書の差出人もしくは受取人が告訴しなければ、検察官は起訴できないということです。

告訴されなければ実務上は捜査も進められず、刑罰を科せられることもありません。

なぜ信書開封罪が親告罪になるのかというと、比較的軽微な犯罪であり、当事者同士で解決する方が適切な場合も多いからです。

信書開封罪は当事者間で話し合って謝罪や弁済などで解決する方が、警察が介入して刑事事件に発展させるよりも適切と考えられるため、親告罪とされています。

4、こんなケースでも信書開封罪が成立する?

信書開封罪について解説してきましたが、具体的にどのようなケースで信書開封罪が成立するのでしょうか?

信書開封罪が成立するのかどうか問題となりやすい事例についてご紹介します。

(1)家族宛の郵便物を勝手に開封した

家族宛に届いた郵便物を勝手に開封するようなケースはよくあることでしょう。

しかし、夫婦や親子など家族間でも個人の通信の秘密は保護されるべきだと考えられます。

そのため、正当な理由なく家族間でも郵便物を勝手に開封すれば、信書開封罪が成立することはあります。

ただし、先ほどご説明したように、夫婦共同生活において正当と認められる場合や、親権の行使に該当する場合には「正当な理由」があるため、信書開封罪は成立しません。

(2)会社で他の人宛の郵便物を勝手に開封した

会社で同僚や部下の郵便物を勝手に開封するようなケースも身近に起こり得るでしょう。

取引先から届いた業務に関する内容の信書であれば、宛名が担当者だった場合でも他の社員が開封することに推定的承諾があると考えられ、信書開封罪は成立しない可能性が高いといえます。

しかし、会社に届いた信書でも、差出人が会社とは関連性のない相手だった場合は宛名の本人以外が開封することに推定的承諾があるとはいえません。

このような場合は、信書開封罪が成立する可能性が高いと考えられます。

(3)誤配された他人宛の郵便物をうっかり開封した

配達員も人間なので、配送先を誤って届けてしまうようなケースもあります。引っ越し直後に前の住人宛の郵便物が届くようなケースもあるでしょう。

本来であれば、誤配された信書は郵便局や配送会社に連絡するなどして適切な措置をとるべきです。

しかし、自分宛てだと考えてうっかり開封してしまった場合は、故意がないため、信書開封罪は成立しません。

一方で、他人宛の信書だと気付いた上で開封した場合は、故意による開封になるため信書開封罪が成立します。

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