信書開封罪に関するQ&A
Q1.信書開封罪とは
信書開封罪とは、封をしている信書を開けた場合に成立する犯罪です。
そもそも信書とはどのようなものが該当するのかというと、特定の差出人から特定の受取人に宛てられた文書です。
信書を正当な理由なく受取人以外の人が開封した場合、信書開封罪が成立し、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられます(刑法第133条)。
Q2.信書開封罪の成立要件
信書開封罪は刑法第133条に規定されているとおり、次の要件を満たした場合に成立します。
・正当な理由がないのに
・封をしてある
・信書を
・開けたこと
Q3.具体的にどのようなケースで信書開封罪が成立する?
信書開封罪が成立するのかどうか問題となりやすい事例についてご紹介します。
①家族宛の郵便物を勝手に開封した
家族宛に届いた郵便物を勝手に開封するようなケースはよくあることでしょう。
しかし、夫婦や親子など家族間でも個人の通信の秘密は保護されるべきだと考えられます。
そのため、正当な理由なく家族間でも郵便物を勝手に開封すれば、信書開封罪が成立することはあります。
ただし、先ほどご説明したように、夫婦共同生活において正当と認められる場合や、親権の行使に該当する場合には「正当な理由」があるため、信書開封罪は成立しません。
②会社で他の人宛の郵便物を勝手に開封した
会社で同僚や部下の郵便物を勝手に開封するようなケースも身近に起こり得るでしょう。
取引先から届いた業務に関する内容の信書であれば、宛名が担当者だった場合でも他の社員が開封することに推定的承諾があると考えられ、信書開封罪は成立しない可能性が高いといえます。
しかし、会社に届いた信書でも、差出人が会社とは関連性のない相手だった場合は宛名の本人以外が開封することに推定的承諾があるとはいえません。
このような場合は、信書開封罪が成立する可能性が高いと考えられます。
③誤配された他人宛の郵便物をうっかり開封した
配達員も人間なので、配送先を誤って届けてしまうようなケースもあります。
本来であれば、誤配された信書は郵便局や配送会社に連絡するなどして適切な措置をとるべきです。
しかし、自分宛てだと考えてうっかり開封してしまった場合は、故意がないため、信書開封罪は成立しません。
一方で、他人宛の信書だと気付いた上で開封した場合は、故意による開封になるため信書開封罪が成立します。
まとめ
他人の信書を正当な理由なく開封すれば、信書開封罪が成立します。
家族間や職場など身近な場所でも起こり得る犯罪ですが、被害者が告訴すれば刑事事件に発展してしまう可能性もあるため、告訴される前に早急に対処することが大切です。
信書開封罪に該当するのではないかという不安があるのなら、一人で悩まずにまずは弁護士に相談することから始めてみてください。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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