厚生年金の支給額は一時の収入だけでは決まらない
ここで確認しておきたいのが、上記の数字において、「現役時代の平均収入」が750万円または500万円必要だということです。
厚生年金の支給額は加入期間だけではなく、おおむねその間の平均給与に比例して決定されます。そのため、一時期だけ収入がよく750万円の年収があったものの、平均すると現役時代の年収は400万円程度であるというような場合、将来20万円もの年金を受け取ることができません。
例えば、23歳から55歳まで年収350万円で働いていた方が56歳から65歳まで年収750万円で働いたとしても、受け取る年金額は年間で180万円、月額でも15万円程度と夫婦で生活していけるだけの年金額を得ることができない計算になります。
年金だけで生活しようと思ったら現役時代の平均年収が500万円から750万円くらい必要
統計上のデータなどを基にした試算になりますが、将来年金だけで暮らそうと思ったら現役時代の平均年収が、単身者なら500万円、夫婦の場合では750万円くらい必要になりそうです。
総務省の家計調査からも、多くの世帯が年金だけでは生活できておらず、就労や貯蓄の切り崩しなどで生活していることが分かります。
老後は無理に年金だけで生活しようと考えるより、長く就労したりそれまでに資産形成をしたり、年金とあわせて生活していくことを考えていく方が現実的でしょう。
出典
総務省 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 2総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:柘植輝
行政書士
配信: ファイナンシャルフィールド
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