個別の事情によっては年金額が低くなることもある
年金の受給額は現役時代の年収だけでなく、働き方など個別の事情によっても大きく変化します。
例えば年収が500万円、300万円の夫婦であっても、自営業などで国民年金のみに加入していた場合、老後に受け取れるのは老齢基礎年金のみです。そのため、世帯年収が統計による平均程度でも、厚生年金に加入している同じ年収の世帯に比べると受け取る年金額は少なくなります。
また、厚生年金の受給額はおおむね加入期間と収入に比例するので、夫婦のどちらかの年収が下がれば年金額も減少することになります。例えば、夫の平均年収が50歳から60歳までの間は500万円から360万円に下がったという条件で試算すると、年金額は年間172万円で8万円減少します。
また、前述した年金額の試算では夫婦ともに60歳まで厚生年金に加入しているという条件でしたが、妻が51歳以降は夫の扶養内(国民年金第3号被保険者)でのパート勤務に働き方を変えた場合、妻が受け取れる年金は年額124万円で、会社員として就労し続けたケースでの試算と比べて17万円の減少となります。
年金額を試算する場合は過去の年金加入記録も考慮すること
会社員が受け取る厚生年金は、加入期間と収入に概ね比例します。会社員で年収500万円の夫、年収300万円の妻という、統計による男女別の日本の平均収入に近い夫婦共働き世帯の場合、あくまで簡単な条件での試算結果ですが、夫婦2人分で月26万7500円程度の年金が将来受け取れると想定されます。
また、現役時代の平均年収が同じであったとしても、過去の年金の加入履歴や今後の働き方によっては年金額が異なります。
自分たちが将来受け取れる年金額の目安を知りたいときは、年金の加入履歴や収入などの条件に応じ、公的年金シミュレーターや日本年金機構の「ねんきんネット」で試算を行ってください。
より具体的な年金見込額や年金加入記録を確認したいという場合は、最寄りの年金事務所に問い合わせることもできます。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:柘植輝
行政書士
配信: ファイナンシャルフィールド
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