脱税による逮捕リスクとは?基準と対応策を解説

脱税による逮捕リスクとは?基準と対応策を解説

5、脱税で逮捕された例

(1)2,600万円の脱税で逮捕

乗馬クラブが約2年間に及び、消費税と地方消費税を申告しないで2,600万円もの脱税を行った事件です。

東京国税局が告発したことにより、千葉地検特捜部が運営会社の代表取締役を逮捕しました。

所得税法違反等に問われ、千葉地方裁判所において有罪判決を受けています。

参考:千葉日報

(2)4,000万円の脱税で逮捕

広島で、ラウンジを経営していた男性が脱税で逮捕された事件です。

ラウンジ経営者は、2014年から2016年までの所得8,400万円を申告せず、2,400万円の所得税を脱税し。

また、従業員の給料から天引きしていた源泉徴収税についても約1,600万円分を納税しなかったと報道されました。

広島国税局は、上記約4,000万円の脱税について岡山地検に告発しました。

参考:産経WEST

このように、脱税で逮捕されるのは脱税額が高額の事案が多く、零細個人事業主が犯してしまった申告漏れや多少の不申告(初犯)で逮捕される可能性は低いでしょう。

6、逮捕された場合どうなるの?刑事事件の流れ

もっとも、脱税の方法が悪質であったり、脱税額が大きい場合には、逮捕されてしまう可能性も十分にあります。

もしも逮捕されてしまった場合には、以下のような流れで処分が進んでいきます。

(1)送検と勾留決定(または在宅事件)

警察に逮捕された場合には、取調べ等が行われた上、逮捕後48時間以内に検察官のもとに送致されます(いわゆる「送検」)。

そして、送致を受けた検察官は24時間以内に、被疑者の身柄を引き続き拘束するかどうかの判断を行います。

身柄拘束が必要と判断されると、検察官は裁判所に勾留請求を行います。

裁判所も勾留する必要性を認めると、勾留の決定がなされ、逮捕された被疑者の身柄は引き続き警察の留置場で拘束されます。

勾留の必要性がないと判断されたら釈放されます。

もっとも、疑いが晴れたのでなければ、被疑者を拘束しないまま捜査が続けられます。

被疑者が在宅のまま捜査を続けることを「在宅捜査」といい、在宅捜査が行われる事件を「在宅事件」といいます。

(2)勾留と起訴、不起訴の処分

勾留請求が認められると、逮捕に引き続いて10日も身柄拘束が続きます。さらに、10日では捜査が終わらない場合、最大10日延長され、20日もの間勾留が続きます。

勾留期間が満了するまでに、または、在宅事件で捜査が終了すると、検察官は起訴か不起訴かを決定します。

不起訴になれば刑事裁判にならないので、そのまま釈放してもらえます。

起訴されたときには、刑事裁判に進みます。

(3)2種類の刑事裁判

刑事裁判には略式裁判と通常裁判の2種類があります。

略式裁判になった場合には、罰金の納付書を使って支払いをすれば、刑を終えたことになります。

裁判所に行く必要はありません。

略式裁判になるのは、100万円以下の罰金刑(又は科料刑)が適用されるケースです。

通常裁判になった場合(いわゆる「公判請求」をされた場合)には、裁判所で審理が開かれて裁かれます。

この場合、被告人は毎回法廷に出廷しなければなりません。

身柄事件では、保釈(※)されない限り拘置所での生活が続きます。

通常裁判で有罪である場合、懲役刑や罰金刑が宣告されて、その審級での裁判が終了します。

保釈・保釈金についてはこちらの記事をご覧ください。

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