実は落とし穴だらけ!? 0円物件が「超お得」とはいえない2つの理由とは

物価や人件費の高騰にともない、新築住宅の価格も上昇傾向にあります。そこで少しでも住宅取得費を抑えるため、中古住宅の購入を検討している方も多いのでしょう。そのなかで、空き家を中心に0円物件を見たことがある方もいるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、0円物件は本当にお得なのか取得にあたっての注意点を解説します。

空き家は全国各地で増加している

総務省統計局の「平成30年 住宅・土地統計調査」によると、空き家はこの20年で約1.5倍(約849万戸)に増加しました。全国的に見ると、長期間にわたり人が不在の住宅(その他空き家)は、全住宅に対して5.6%を占めています。10%を超える地域もあるなど、空き家の増加は各地で問題となっています。

 

そこで、移住・定住支援などを通して空き家の利活用に乗り出す自治体も登場しました。

 

0円物件はどうすれば取得できる?

では、各地で増えている空き家はどうすれば手に入るのでしょうか。0円物件は親族・友人から譲渡してもらうほか、自治体の空き家バンクで探す方法があります。

 

空き家バンクには0円から低廉な空き家の売買・賃貸情報が掲載されています。住宅の改修費用支給や独自の補助金など、移住者支援策を実施している自治体があるのも注目したいポイントです。

 

空き家がお得とは限らない理由とは?

0円物件であっても、取得にあたりまったく費用がかからないわけではありません。むしろ、通常の不動産売買ではかからないような費用が発生することもあり、注意が必要です。

 

贈与手続きにかかる費用は発生する

0円物件が無償なのは土地・建物部分だけなので、不動産の名義変更といった諸手続きにかかる経費は必要です。そして無償による譲渡は贈与にあたるため、不動産の評価額に応じた贈与税も発生します。どのような費用がかかるのか、主なものを見ていきましょう。

・登録免許税:固定資産税評価額×2%

・不動産取得税:固定資産税評価額×4%(2024年3月31までは3%)

・贈与税:(課税価格-基礎控除110万円)×税率-控除額

 

※贈与税の税率および控除額は、基礎控除後の課税価格により決まります。

0円物件だからといって、評価額も0円になるわけではありません。対象の不動産の価値に応じて各種税金がかかります。固定資産税評価額は、役所の固定資産課税台帳もしくは納税通知書でご確認ください。仮に評価額が1500万円の不動産を贈与したときの、それぞれの税額を見ていきましょう。

・登録免許税:1500万円×2%=30万円

・不動産取得税:1500万円×3%=45万円

・贈与税:(1500万円-110万円)×45%-175万円=500万円

このケースでは、譲渡を受けた側は合計で575万円の税負担があります。このほか、所有している間は固定資産税や維持管理費といったコストがかかる点にも留意してください。

 

リフォーム費用がかさむことがある

0円で取引されるような空き家は、老朽化が進んでいるなどそのままの状態では住めないケースは珍しくありません。また、昭和51年以前に建てられたものは現行の建築基準法に適合していないおそれもあります。リフォームや耐震補強工事などの費用がかかる可能性があるためご注意ください。

 

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