賃貸暮らしですが、将来の年金は「月12万円」です。現在の家賃は8万円ですが、もっと安いところに引っ越すしかないでしょうか?

賃貸住宅で生活している人は、老後の家賃の支払いをイメージすると、不安を感じることがあるかもしれません。年金だけで生活費をまかなえるのか心配になり、もっと安いところへの引っ越しを検討する必要がある場合も想定されるでしょう。
 
本記事では家賃8万円の賃貸暮らしを想定し、年金見込み額が月12万円のケースについて、老後の経済的な見通しや対策を説明します。

将来の支出はどれくらい?

老後の生活では、家賃以外にもさまざまな出費が生じます。そのトータルの金額を予想し、引っ越す必要があるのかを判断しなければなりません。参考資料としては、総務省がまとめた令和4年の家計調査年報が参考になります。

 

こちらの調査は無職の65歳以上単身世帯も対象としており、その平均支出が分かる情報も掲載されています。食費や水道光熱費といった消費支出の平均月額は14万3139円で、税金などの非消費支出の平均月額は1万2356円です。そして、これらを足した15万5495円がトータルの平均支出になります。

 

ただし、賃貸暮らしの人は、この金額をそのまま自分の予想に使ってはいけません。なぜなら消費支出のうち、住居費の平均月額はわずか1万2746円しか含まれていないからです。持ち家の世帯も計算に入っているため、このような安い金額になっているのです。よって、実際はもっと出費が大きくなることを理解しておきましょう。

 

安い賃貸物件に移るだけでは不十分

家賃が8万円なら、住居費の平均月額1万2746円に対して、6万7254円の差があります。これを先ほど算出した平均支出15万5495円に加えると22万2749円です。この金額こそが、家賃が8万円の賃貸物件における老後の生活費の予想となります。

 

将来受給する年金が月12万円の場合、毎月「22万2749円-12万円=10万2749円」の赤字が発生する計算になります。年間だと123万2988円も足りないため、早々に家賃の削減という選択肢を視野に入れることになるでしょう。

 

ただし、家賃が半分程度の賃貸物件に住んだとしても、まだ毎月6万円ほど不足してしまいます。この状態で生活を続けた場合、年間の収支は70万円以上もマイナスになりかねません。つまり、安いところに引っ越すだけでは、決定的な対策にならないといえるでしょう。

 

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