将来、十分な年金がもらえるのか、誰もが気になるところでしょう。例えば、毎月30万円受給できれば生活費に関して不安は感じないかもしれません。しかし、30万円の年金を受け取るのは、果たして現実的なのでしょうか。
本記事では、公的年金で毎月30万円をもらうためにはどのような要件が必要なのかを検証します。
公的年金で毎月30万円もらえる条件
公的年金には国民年金と厚生年金がありますが、毎月30万円をもらうためには世帯主が厚生年金を受給し、現役時代に一定以上の平均年収をクリアする必要があります。また、単身よりは夫婦2人のほうが配偶者の年金も合算できるので可能性が高くなります。
また、一定以上の年収達成が難しい場合でも、繰下げ制度の利用によって年金額を増やす方法もあります。
国民年金だけでは難しい
国民年金は、国内に居住する20歳以上の人に加入義務があります。一方で厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金で、国民年金に上乗せして年金が支給されます。
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は一律で、満額でも平成5年度は月額6万6250円なので、国民年金だけで月額30万円の受給は夫婦2人であっても不可能です。
夫婦2人の年金を合算して、さらに高収入が必要
30万円の年金を夫婦2人で受け取るためには、2人の年収がどれくらい必要なのかを計算してみましょう。老齢基礎年金は2人で13万2500円(6万6250×2)なので不足分は16万7500円です。
老齢厚生年金の受給額は、以下の計算式で算出します。
・平均標準報酬月額×5.481÷1000×480ヶ月(加入月数)=16万7500円×12ヶ月(受給額)
上記を逆算して平均報酬月額を算出すると、76万4003円が平均標準月額報酬です。つまり、40年間平均して約917万円の年収が必要です。配偶者が国民年金だけでは毎月30万円の受給は難しく、2人ともに厚生年金であれば受給できる可能性があります。
繰下げ制度を利用して上乗せする
夫婦2人が共に厚生年金で40年間年収900万以上をキープすることは、可能ではありますがかなり難しいといえるでしょう。そこでもっと現実的な手段として、年金の繰下げ受給制度を利用する方法があります。ただし、繰下げ期間中は年金が支給されないため、働いて収入を得る必要があります。
75歳で繰下げ受給すると84%割り増しになりますが、働くことを考えると70歳までの繰下げで42%の割り増しが現実的でしょう。具体的には1ヶ月に約21万2000円の年金支給額があれば、70歳以降は約30万円(21万2000円×1.42)の年金を受け取れます。
公的制度以外での上乗せ方法
年金の受給年齢までにまだ余裕がある人は、公的年金以外で将来の資産を増やす方法を考えましょう。長期的な積立方式であれば、月々の負担もさほど大きくないうえに早く始めるほど効果が高くなります。
主な積立方式には、以下のものがあります。
●企業年金制度:勤務先の企業で企業年金制度を提供している場合があるので、確認してみましょう。「確定給付企業年金(DB)」「企業型確定拠出年金(DC)」「厚生年金基金」などがあります。
●iDeCo:「個人型確定拠出年金」ともよばれ、勤務先が変わっても継続できるのがメリットです。
●NISA:一定金額まで非課税の積立型の投資商品です。2024年からは利用枠も拡大し、非課税期間も無期限になるので検討する価値はあります。
配信: ファイナンシャルフィールド