公務員夫婦で世帯年収「1000万円」はあります。老後は働かなくていいですか?

世帯年収1000万円といえば、高収入な部類に該当する世帯でしょう。それゆえ、特に退職金の手厚い公務員であれば「老後は働かなくてもよいのではないか」と考える世帯もあるようです。そこで、世帯年収1000万円ある公務員夫婦は、老後に働かなくても生活できるのか、考えてみます。

世帯年収1000万円の公務員夫婦が受け取る年金額は?

地方公務員のモデル年金額を基に計算していくと、厚生年金(平成15年の4月以降の報酬比例部分のみと仮定)と国民年金の合計額は令和5年度ベースで合計186万3137円になると推測されます。夫婦2人なら372万6274円となります。

 

図表

出典:地方公務員共済組合連合会 共済組合員の皆さんへ

 

さらに、終身年金と有期年金(支給残月数20年)で月額1万7299円を受け取ることができます。すると、世帯年収1000万円の公務員夫婦は、少なくとも20年間毎年414万1450円を受け取ることができます。21年目以降も、392万866円もの年金を受け取れます。

 

「毎年400万円超えの年金を受け取れる」と聞くと、多く感じられるかもしれません。しかし、標準報酬月額の平均が月収40万6000円ということは、おおむね月当たりの給与が40万6000円前後であることが推定されます。

 

この金額を12倍して年収換算すると、487万2000円となります。夫婦合わせて974万4000円と、ほぼ世帯年収1000万円と近しい数値です。そのため、世帯年収1000万円の公務員夫婦が、毎年414万1450円の年金を受け取ることは、十分現実的です。

 

退職金の存在も踏まえると、老後資金は莫大なものになる

総務省の「令和3年 地方公務員給与実態調査結果」によれば、25年以上勤務し、定年退職した場合の地方公務員の退職手当の平均額は2184万3000円になっています(全地方公共団体・全職員から退職勧奨や自己都合退職については除いて集計)。夫婦2人が同じ金額をもらえるとすると、4368万6000円もの金額になります。

 

仮に65歳で定年して年金を受け取りはじめ、夫婦で95歳まで生きるとすると、30年間で得られる年金と退職金を含めると、老後資金は1億6572万3660円となります。毎月およそ46万円も、老後資金として活用することができます。

 

また、公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、老後に夫婦2人で最低限度の日常生活を営むには平均で23万2000円、ゆとりある老後生活を送るには平均37万9000円(「最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」の合計額とする)が必要です。

 

ここから、旅行ざんまいをする・欲しいものをあれこれと買いつづけるなど、よほど金銭的な支出がかさむような生活を送らなければ、老後は働かずとも不自由なく生活していくことができるでしょう。

 

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