年金の繰下げ受給で「損」をする可能性ってあるの?

年金を繰下げ受給するか、それとも通常どおり65歳から受け取るかについては、メディアやSNSなどで度々悩みとして挙げられている部分でもあります。繰下げ受給をしない理由に「損をするから」というものがあります。
 
本当に繰下げ受給で損をする可能性があるのか、検証してみました。

年金の繰下げ受給とは

年金の繰下げ受給とは、年金の受給開始時期を65歳より遅らせることで、その分将来増額された年金を受け取ることのできる制度です。

繰下げは1月単位で75歳まで行うことができます。1月繰り下げるごとに将来受け取る年金は0.7%増額されます。つまり、最大75歳まで繰り下げると、84%増額された年金を受け取ることができるというわけです。

 

繰下げ受給で損をすることはあり得る

一見、繰下げ受給は受給できる年金が増額されることから、得をするように感じます。しかし、必ずしも得をするとは限りません。

仮に、65歳から1月当たり10万円年金を受け取れる方が75歳まで繰り下げたとしましょう。その場合、受け取れる年金額は1月当たり18万4000円となります。しかし、75歳から受け取りはじめ、76歳に亡くなってしまったらどうでしょうか。受け取れる総受給額は18万4000円×12ヶ月分で220万8000円です。

 

一方、通常どおり65歳から受け取りはじめて、同様に76歳で亡くなったとすると、1月当たり10万円の年金を11年間受け取ることができます。すると総受給額は1320万円となります。

このように、繰下げ受給をして月当たりの受給額が増えても、受取期間が短くなることで総受給額は少なくなる可能性があります。

 

関連記事: