50代で「おひとりさま」の場合、老後働かなくていいのは現役時代の年収がいくらから?

「現役時代の年収がどれくらいあれば、老後は働かなくて済むのだろうか」という問題は、誰もが1回は考えたことがあるでしょう。特に50代で、老後に関心の高い「おひとりさま」であればなおさら、この点については気になるのではないでしょうか。
 
そこで、この記事では「おひとりさま」が老後に働かずに済むには、現役時代の年収がどれくらいあればよいのかを考えていきます。

まずは老後の生活費と年金額から考えていく

まずは、老後にかかる生活費から考えていきましょう。老後にかかる生活費が少ないほど、老後に働かず過ごすことのハードルも低くなるからです。

 

参考までに、総務省統計局の「家計調査(2022年)」によれば、65歳以上の単身無職世帯における月々の支出は、15万5495円となっています。

 

続いて、現役時代の年収がどれくらいあれば、十分な年金を受給できて、働かなくてよくなるのかを考えていきましょう。将来受け取る年金(厚生年金と共に受け取る国民年金も含む)の支給額は、おおむね現役時代の収入に比例します。先の支出を踏まえると、取りあえず月々16万円の年金を得られれば、働かずに生活していくことができそうです。

 

月々16万円の年金を得られるように、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」にて「1970年6月30日生まれ」「20歳から59歳まで厚生年金に加入して就労」という条件で試算すると、現役時代の平均年収は、おおよそ560万円必要になることが分かります。おひとりさまは生活費を比較的少なく抑えられるとはいえ、年金だけで老後に働かず生活することは、簡単ではなさそうです。

 

資産の総額からも考えていく

「老後は働かずに過ごそう」と思ったら、老後資産も重要です。令和4年度において、50歳の方の平均余命は、男性で32.51歳、女性で38.16歳(令和4年簡易生命表の概況「主な年齢の平均余命」参照)となっていることを踏まえ、83歳までは生きると仮定して、いくら必要になるかを考えてみます。

 

60歳で定年を迎えて、そこから83歳までの23年間は年金を使用せずに、資産の切り崩しだけで生活しようと思ったら、毎月15万5495円で生活するにしても、23年間でおよそ4300万円が必要になります。これだけの額を準備できる人は、おひとりさまでもそう多くはないでしょう。そこで「年金とあわせて、足りない部分を資産から切り崩す」という方法を考えていきます。

 

前出の「家計調査(2022年)」によれば、単身・勤労者世帯の平均年収は、443万円程度とされています。仮に年収400万円として、20歳から59歳まで働いたとすると、得られる年金は、年間160万円、月々およそ13万3333円です。

 

すると、65歳から83歳までの18年間で得られる年金は、2880万円になります。23年間の生活費総額である4300万円には、1400万円程度不足しているものの、堅実に生活してきたおひとりさまであれば、50代の時点では、たまっていてもおかしくはない金額でしょう。

 

堅実に貯金などの資産形成をしていることが前提にはなりますが、おひとりさまであれば、年収400万円程度でも、老後は働かずに済む可能性が十分あります。

 

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