年末まであと1ヶ月となったある日、A子さん(65歳)の自宅に「北海道の水産業者」と名乗る者から電話がかかってきました。「以前、うちの商品を購入された方に電話しているのですが……」と始まりました。
「お値打ちですよ、損はさせません」と言われたのですが、A子さんはこの業者から購入した覚えがありません。怪しいと思い、「要りません」と断りました。しかし、その後、商品が届いてしまったのです。
断ったのに商品が送られてきた、金額に見合わない粗悪な商品が送られてきた等、海産物の電話勧誘トラブルについて多くの相談が消費生活センターに寄せられているようです。
お歳暮に、年始の準備にと、海産物の需要が高まるこの時期、北海道警察本部と独立行政法人国民生活センターが注意喚起を行っています(※)。
勝手に送ってきたものは、支払いをしなくて良い
特定商取引法の改正により、令和3年7月6日以降、売買契約に基づかないで送りつけられてきた商品は、ただちに処分できますし、業者から代金を請求されても代金を払う必要はありません。
A子さんは、電話で勧誘されたときに断っています。そもそも契約が成り立っていないのです。もし、業者が商品を送ってきたとしても、代金を払う必要はありませんし、商品の返送も必要がありません。
代引で送られてきた場合は、理由を説明して支払いをせず、宅配業者に持ち帰ってもらいましょう。
勧誘電話で申し込んでしまった! 後で取り消せる?
では、もし、A子さんが電話で商品を購入することを承諾してしまったら、後で怪しいから取り消したいと思っても、取り消すことはできないのでしょうか。
この場合は、特定商取引法の電話勧誘販売に該当するため、消費者は契約についての申し込み書面か契約書面の法定書面を受け取った日(両方受け取った場合、先に受け取った日)を1日目とし、8日以内であればクーリング・オフ(無条件解除)できます。
法定書面とは、特定商取引法第18条・19条(電話勧誘販売に置ける書面の交付)で定められた書面で、申し込み・契約の締結により、事業者は以下の内容を記載した書面を消費者に渡さなければなりません。
1. 商品(権利、役務)の種類
2. 販売価格(役務の対価)
3. 代金(対価)の支払時期・方法
4. 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
5. 契約の申し込みの撤回(契約の解除)に関する事項(クーリング・オフができない部分的適用除外がある場合はその旨含む)
6. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人にあっては代表者の氏名
7. 契約の締結を担当した者の氏名
8. 契約の締結の年月日
9. 商品名および商品の商標、または製造業者名
10. 商品の型式
11. 商品の数量
12. 引き渡された商品が種類、または品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
13. 契約の解除に関する定めがあるときには、その内容
14. そのほか特約があるときには、その内容
(引用:消費者庁「特定商取引法ガイド/電話勧誘販売」)
さらに、クーリング・オフについては、赤枠の中に赤字(8ポイント以上の大きさ)で記載しなければなりません。
配信: ファイナンシャルフィールド