クッキー作りをマスター!溶かしバターとクリーム状バターの使い分け術

クッキー作りをマスター!溶かしバターとクリーム状バターの使い分け術

この記事では、クリーム状のバターと溶かしバターでクッキーを作り、作業のしやすさや、味、食感の違いを検証します。検証にはシンプルな型抜きクッキーのレシピを使用します。バターの特性や仕上がりの違いを知れば、パティシエさんがバターの使い方にこだわる理由も分かりますよ。

焼成後の仕上がり比較

見た目

クリーム状バター生地のクッキー(左)、溶かしバター生地のクッキー(右)です。並べてみても形のきれいさに大きな違いは見つかりません。焼き色はオーブンの焼きムラも原因として考えられますが、全体的に溶かしバターのクッキーがやや薄い焼き色に仕上がりました。

断面

クリーム状バター生地の断面(左)、溶かしバター生地の断面(右)です。半分に割って断面を比べても大きな違いは見当たりません。微妙な違いではありますが、クリーム状バター生地は細かい気泡が多く、溶かしバター生地は不ぞろいな気泡があります。

風味、食感

焼きたてのクリーム状バターのクッキーを、手で持てるくらいの温度になってから食べてみたところ、全体がサクッホロっと崩れるような食感でした。粗熱がとれると軽いサクサク食感になります。バターの風味を強く感じ、クセや重たさは感じません。

焼きたての溶かしバターのクッキーを、手で持てるくらいの温度になってから食べると、表面はさっくり、中心はしっとりやわらかい食感でした。粗熱がとれると全体がザクザク、ボリボリと硬めの食感に変化します。バターの風味は弱く、やや油っぽさを感じる重めの食べごたえです。

違いがでるのはなぜ?

クリーム状バターと溶かしバターで作る型抜きクッキーは、見た目以上に食感に違いが出ました。クリーム状バターで作るクッキーは、軽い食感でバターの風味豊かで、食べ飽きず手が止まらなくなる味わい。溶かしバターで作るクッキーは、ザクザク食感があとを引きますが、バターの風味が弱くやや油っぽさを感じます。

クリーム状バターで作るクッキーの軽い食感は、クレメ法による効果が大きいようです。バターが白っぽくなるまでよく混ぜるクレメ法には、バターが空気を含む特性「クリーミング性」を活かす目的があります。バターが細かい気泡を含むことで生地に気泡が細かく入り、サクサク食感になる仕組みです。

さらに、バターが生地内で薄く広がる「ショートニング性」もバターの特性のひとつ。バターが生地内に広がることで、粘弾性のあるグルテンの形成を阻止し、歯ざわりの良い軽い食感に仕上がります。溶かしバターには、クリーミング性もショートニング性もありません。

溶かしバターで作るクッキーのバター風味が弱く油っぽさを感じたのは、高温で風味が劣化しやすいバターの特徴が原因として考えられます。とはいえ、風味と味の違いは意識して味わうと、ほんの少し感じる程度です。

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