「胆嚢がんの進行速度」はご存知ですか?初期症状や治療法も解説!【医師監修】

「胆嚢がんの進行速度」はご存知ですか?初期症状や治療法も解説!【医師監修】

「胆嚢がん」と聞いて、治療の難しさ・生存率がどれくらいか想像がつく方は少ないのではないでしょうか。胆嚢が体のどの部位にあたるのか、知らない方もいるでしょう。

胆嚢は、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管の途中にあり、胆汁を貯蔵しておく臓器です。胆嚢がんは、初期症状が乏しいため、早期発見が難しいという特徴があります。

そのため、胆嚢がんが発見されたときには進行している可能性が高いです。本記事では、胆嚢がんの進行速度について、治療方法や胆道がんについて解説していきます。

監修医師:
甲斐沼 孟(TOTO関西支社健康管理室産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。2023年、TOTO関西支社健康管理室産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

胆嚢がんの症状

胆嚢がんの症状は、特有の症状ではなく他の疾患でも見られるものが主です。食欲不振・腹痛・嘔気・体重減少・黄疸・腹部膨満などの症状が見られますが、これらの症状が現れたときはがんが進行していることが多く、初期は無症状で進行していきます。
ここからは、胆嚢がんで主に見られる各症状について解説していきます。

食欲不振

食欲不振は、がんのみの症状ではなく、胃炎や抑うつなどの疾患の場合でも見られることがあります。胆嚢がん特有の症状ではなく、他の疾患でも現れる症状のため、胆嚢がんの発見が遅れる可能性があります。
食欲不振が続く場合は、何らかの疾患の可能性があるため、医療機関での検査をすることが必要です。

腹痛

胆嚢がんが進行すると、腹痛の症状が現れることがあります。
肝臓は腹部の右側に位置するため、みぞおち付近や右の脇腹に痛みが出現する可能性があります。

嘔気

肝臓には、代謝・解毒などの役割があり、肝機能障害では嘔気が出やすくなります。
胆嚢がんの場合でも、肝機能の低下が見られ嘔気症状がおこることがあります。嘔気が一過性でない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

体重減少

胆嚢がんにより、食欲の低下・肝機能の低下による代謝の低下・腹痛などにより、体重が減少することがあります。
胆嚢がんだけでなく、他のがんの症状にも体重減少があります。急激な体重が減少した場合などは、病気の可能性があるため医療機関を受診するなり注意が必要です。

胆嚢がんの進行速度は?

胆嚢がんは早期発見が困難であり、周囲の組織へ転移した進行がんの状態で発見されることが多いです。進行速度は非常に早く、自覚症状がある状態で発見された場合は、肝臓・膵臓などの臓器へ転移している可能性が高くなります。
進行速度がきわめて早いため、早期発見することが非常に重要な疾患であります。胆石や胆嚢炎の診断後に偶然がんが発見されることもありますが。この場合は、自覚症状も少なく早期発見といえます。

がんが胆嚢の内壁に限定されている場合

胆嚢がんは、胆嚢の内壁の粘膜から発生し、外壁へ向かって進行していきます。
がんが内壁に限定されている場合では、初期のがんでありステージ1になります。ステージ1は早期がんであり、手術によるがん組織の摘出をするだけで根治する可能性が高いといわれてきました。
摘出は胆嚢の切除のみで済むことが多く、根治する可能性がある治療方法です。

がんが胆嚢の外壁に達している場合

胆嚢の内壁から進行したがんが外壁に達している場合、外壁を貫き周囲の組織へ浸潤していく可能性があります。手術の際には、胆嚢のみならず胆管・肝葉などの組織を切除するなど、進行状態に応じて組織の切除が行われます。
手術により、胆嚢がんを取り除くことができれば、胆嚢がんが内壁に限定される場合と同様に根治する可能性が高いです。

がんが周囲の組織に広がっている場合

胆嚢がんが周囲の組織に浸潤している場合、病期分類はステージ3です。リンパ節への転移がない場合はステージ3A、リンパ節への転移が見られる場合はステージ3Bとなり、手術で胆嚢や周囲の組織の切除を行います。
胆嚢がんが広がり、進行がんとして治療が行われます。

遠隔転移している場合

胆嚢がんの中で多いのは肝臓への転移ですが、肺・膵臓への転移も多く見られます。胆嚢がんが、隣接する組織ではなく遠く離れた組織へがんが転移した遠隔転移の場合、病期分類はステージ4となります。
胆嚢がんが進行し、ステージ4では手術による切除が難しいことが多く、放射線治療・抗がん剤治療が行われることが多いです。

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