「腎臓がんが転移する確率・ステージ別の余命」はご存知ですか?症状も解説!

「腎臓がんが転移する確率・ステージ別の余命」はご存知ですか?症状も解説!

腎臓がんの症状

腎臓がんが進行すると以下のような症状を呈することがあります。

血尿

血尿とは、尿に血液が混じることで、尿の色が赤くなったり、血の塊が出たりする状態です。血尿は、腎臓がんだけでなく、腎結石や腎炎、膀胱炎などの尿路の病気でも起こります。
腎臓がんの場合、血尿は進行した症状のひとつです。腎臓がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどありませんが、がんが大きくなると、腎臓や尿管などの尿路に傷がついて、血液が漏れ出します。血尿は突然出たり止まったりすることが多く、排尿時に痛みを感じることは少ないです。
腎臓がんの種類によっても、血尿の出方は異なります。腎臓の本体にできる腫瘍のほとんどが腎細胞がんで、見た目にはわからない、検査を行ってわかる血尿(顕微鏡的血尿)を含めると、約40%の割合で見られます。腎臓の中にある腎盂や尿管にできる腫瘍は腎盂・尿管がんで、血尿は約80%の割合で見られます¹²。腎盂・尿管がんの場合、血尿は尿の全部が赤くなるのが特徴です。

腹部腫瘍

腹部腫瘍とは、腹部にしこりができることをいいます。腫瘍が大きくなると、腹部や腰に触れると硬いしこりを感じることがあります。腹部腫瘍は、進行した腎臓がんの症状のひとつで、自覚症状がない初期の段階ではあまり見られません。
腹部腫瘍の原因は、腎臓の細胞ががん化して増殖することで、腎臓が肥大化することです。腎臓がんは、腎臓のどの部分にできるかによって、腫瘍の大きさや形が異なります。腎臓の本体にできる腫瘍は、腎細胞がんと呼ばれ、腎臓がんのほとんどがこのタイプです。腎細胞がんは、腎臓の外側に向かって成長することが多く、腫瘍が大きくなると腹部にしこりができます。腎臓の中にある腎盂や尿管にできる腫瘍は、腎盂・尿管がんと呼ばれ、腎臓がんの約10%がこのタイプです。腎盂・尿管がんは、腎臓の内側に向かって成長することが多く、腫瘍が大きくなっても腹部にしこりができにくいです。

腎臓がんの治療方法

腎臓がんの主な治療法について以下に解説します。

薬物療法

薬物療法とは、薬剤を使ってがん細胞の増殖を抑えたり消滅させたりすることを目的とした治療法です。薬物療法は、切除不能な腎臓がんや転移がある腎臓がんの場合に行われます。薬物療法には、免疫療法と分子標的治療の2種類があります。
免疫療法とは、免疫を担当している細胞やタンパク質のはたらきを活性化させることで、がん細胞を攻撃し、がんを抑制する治療法です。腎臓がんでは、インターフェロン製剤とインターロイキンの2つの薬剤があります。これらの薬剤は、静脈注射や皮下注射で投与されます。免疫療法は、約15〜20%の患者さんのがんが半分以下に縮小します。免疫療法の副作用には、発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、食思不振、白血球減少、血小板減少、甲状腺機能異常、耐糖能異常、間質性肺炎、神経精神症状、目や網膜の症状、脱毛、皮膚症状、循環器の症状などがあります。
分子標的治療とは、がん細胞の増殖や転移に関与する特定の分子を標的にすることで、がんを抑制する治療法です。分子標的治療には、チロシンキナーゼ阻害薬とmTOR阻害薬の2つのタイプがあり、現在では合わせて6種類の薬が使用できます。これらの薬剤は、経口で服用するか、静脈内に点滴するかの方法で投与されます。分子標的治療は、がんを小さくしたり、増大を遅らせたりします。分子標的治療の副作用には、高血圧、下痢、食思不振、疲労感、手足症候群、血球減少、甲状腺機能障害、蛋白尿、消化管出血、心筋障害などがあります。

外科的治療

外科的治療とは、がんやがんのある臓器を切り取る(切除する)治療法です。腎臓がんの場合、外科的治療が主体となります。外科的治療には、腎部分切除術と腎摘除術の2種類があります。
腎部分切除術とは、がんの病巣と腎臓の一部を切除する方法です。がんが小さい場合(4cm以下)に選択されることが多いです。残った腎臓の機能を温存できるという利点があります。腎部分切除術は、おなかを切開して行う「開腹手術」や、おなかに開けた小さな穴から腹腔鏡を入れて行う「腹腔鏡手術」があります。腹腔鏡手術では、手術用ロボットを遠隔操作して行う場合もあります。
腎摘除術とは、腎周囲脂肪組織も含め腎臓ごと腫瘍を取り除く方法です。腎臓の頭側にある副腎を一緒に切除するかどうかは、がんの位置や副腎への転移の状況などを考慮して決定されます。腎摘除術も、開腹手術や腹腔鏡手術があります。外科的治療の合併症には、出血、感染、尿漏、血栓症などがあります。

局所療法

局所療法とは、体外から専用の細い針でがんに向かって刺し、がんを壊死させる治療法です。局所療法には、凍結療法とラジオ波焼灼療法の2種類があります。
凍結療法とは、針の先端に極低温を発生させて凍結、解凍をくり返すことでがんを凝固・壊死させる治療法です。凍結療法は、4cm以下の小さながんに対して行われます。凍結療法は、局所麻酔下にて行われ、傷痕が小さく出血も少ない体の負担が少ない治療法です。凍結療法の合併症には、後腹膜出血、血尿、膀胱タンポナーデ、腎臓周辺の臓器の損傷、疼痛、発熱などがあります。
ラジオ波焼灼療法とは、針に高周波の電磁波を流してがんを焼いて壊死させる治療法です。ラジオ波焼灼療法は、3cm以下の小さながんに対して行われます。ラジオ波焼灼療法は、局所麻酔下にて行われ、傷痕が小さく出血も少ない体の負担が少ない治療法です。ラジオ波焼灼療法の合併症には、後腹膜出血、血尿、腎臓周辺の臓器の損傷、疼痛、発熱、周辺組織の熱傷などがあります。
局所療法は、手術が難しいと考えられる高齢の方や腎機能が低下した方、心疾患系の疾患を有する方などに対して行われます。また、手術後の再発例で適用されることもあります。

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