「慢性骨髄性白血病の10年生存率」はご存知ですか?症状や原因についても解説!

「慢性骨髄性白血病の10年生存率」はご存知ですか?症状や原因についても解説!

慢性骨髄性白血病の診断・検査

では、慢性骨髄性白血病はどのような検査で診断されるのでしょうか。以下で解説していきます。

血液検査

慢性骨髄性白血病の診断には、血液検査が重要な役割を果たします。血液検査では、赤血球、白血球、血小板の数や形の異常を調べます。特に、白血球の数が増加しているかどうかを確認します。さらに、血液中に芽球が存在するかも調べます。ただし、最終的な診断には、染色体異常(フィラデルフィア染色体)または遺伝子異常(BCR-ABL遺伝子)の存在を確認する必要があります。

骨髄検査

骨髄検査は、血液検査で異常が見つかった場合に局所麻酔のもとで実施されます。腸骨に針を挿入して骨髄組織を採取する骨髄穿刺と、骨髄の組織を直接取り出す骨髄生検の2つの方法があります。

染色体検査・遺伝子検査

慢性骨髄性白血病の診断には、染色体検査と遺伝子検査が重要です。染色体検査では、骨髄液から取り出した細胞を調べ、特徴的なフィラデルフィア染色体を探します。遺伝子検査では、FISH法を用いて染色体を染色し、異常なBcr-Abl遺伝子を特定します。また、PCR法という遺伝子増幅手法も利用され、より精密な検出が可能となります。染色体検査・遺伝子検査により、慢性骨髄性白血病の診断と治療の方向性が決定されます。

超音波検査・CT検査

慢性骨髄性白血病が確認された後は、体の器官に異常が存在しないかを調べることが大切です。特に、疾患の進行や治療を予測する要素の1つである脾臓の肥大度を確認するために、腹部の超音波検査や腹部CTなどをすることがあります。造影剤を使用する際には、アレルギー反応が起こる可能性があるため、ヨードアレルギーの経験がある方は医師にその旨を伝えましょう。

慢性骨髄性白血病の治療

次に、慢性骨髄性白血病の治療について解説します。

分子標的薬による治療

慢性骨髄性白血病の治療には、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害薬が用いられます。チロシンキナーゼ阻害薬は、慢性骨髄性白血病の原因となるBCR-ABL遺伝子の働きを抑制することで、白血球や血小板の数を正常化し、白血病細胞の比率を低下させます。初代のTKIであるイマチニブ(グリベック)は、効果的とされる治療薬であり、多くの患者に良好な治療結果をもたらせる可能性があるとされています。しかし、グリベックはBCR-ABL遺伝子に変異が生じると、期待できる効果は弱まるとされています。この問題を解決するために、第二世代のTKIであるダサチニブ(スプリセル)、ニロチニブ(タグシナ)、ボスチニブ(ボシュリフ)が開発され、初回治療として広く使用されています。さらに、これらの薬剤が効きづらい特定のBCR-ABL遺伝子変異(T315I)に対しても良いとされる第三世代のTKIであるポナチニブ(アイクルシグ)も承認されています。これらの薬剤は副作用を持つため、専門の医師の適切な管理のもとで治療を行うことが重要です。また最近の研究では、一定期間薬を内服し、一定以上の効果が期待できた場合、薬の内服を停止しても再発しない患者が存在することが明らかになっており、TKIによりCMLが治癒する可能性が示唆されています。

造血幹細胞移植

チロシンキナーゼ阻害薬で病状が改善しない場合、または病状が移行期や急性期に進行した場合、若い患者に対しては、造血幹細胞の移植が選択肢とされます。「造血幹細胞移植」は、通常の治療だけでは難しい病気を治療することを目指しています。造血幹細胞の移植は、たくさんの化学療法や全身への放射線療法などを含む移植前の処置をした後に、自分自身またはドナーから事前に採取した造血幹細胞を投与します。移植前における処置の目指すところは、がん細胞の数を削減し、患者の免疫細胞の活動を制御することです。これにより、移植した造血幹細胞が患者の骨髄にしっかりと定着し、正常な造血機能が回復することが期待されます。また、同種造血幹細胞移植の場合、ドナーのリンパ球が患者の腫瘍細胞を攻撃する効果も期待されます。ただし、この治療法はとても強い副作用や合併症を引き起こす可能性があり、そのために患者ごとに慎重な検討が必要です。また、移植前処置の強度や患者とドナーの関係性、使用する細胞の種類によって、造血幹細胞移植の種類は異なります。それぞれの方法には長所と短所があり、患者とドナーの立場から適切な移植方法が選択されます。

化学療法(抗がん剤)

化学療法は、抗がん剤という化学物質を用いてがん細胞の増殖を制御し、がん細胞を排除する治療法です。全身に存在するがん細胞を対象に攻撃・排除する全身療法として機能します。慢性骨髄性白血病の場合、化学療法は治癒よりも、発熱、倦怠感、肝臓や脾臓の腫れなどの症状の緩和と血球数の管理を目的として実施されます。投与方法としては、内服、点滴による静脈注射、筋肉注射などがあります。しかし、これらの方法では脳脊髄液への薬剤の移行が難しいため、抗がん剤を直接脊髄に注射する「髄注」が選択されることもあります。
さらに、大量の抗がん剤を使用した化学療法は、造血幹細胞移植の補助療法などとして用いられることもあります。

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