「トリプルネガティブ乳がん」の症状・原因はご存知ですか?ステージについても解説!

「トリプルネガティブ乳がん」の症状・原因はご存知ですか?ステージについても解説!

トリプルネガティブ乳がんの原因

生活習慣

トリプルネガティブ乳がんに特有の原因はありませんが、飲酒は乳がん発症リスクを高めます。また、喫煙も乳がん発症リスクを高める可能性があります。閉経後の肥満も乳癌になるリスクを高めることが確実とされており、閉経前ではリスクを高める可能性があると報告されています。

糖尿病

糖尿病のある人は糖尿病でない人と比べて乳がんになるリスクが1.2~1.3倍とされており、糖尿病の人の乳がんになるリスクが高いことはほぼ確実です。

ホルモン補充療法、ピル

更年期障害の治療であるホルモン補充療法により乳がん発症リスクがわずかに高くなることが報告されています。また、ピルや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の使用により乳がん発症リスクがわずかに高くなる可能性があります。これらの薬を使用する場合は婦人科の主治医とよく相談して決める必要があります。

月経歴、妊娠・出産、授乳との関係

エストロゲンという女性ホルモンに暴露されている期間が長いほど、乳がん発症リスクが高くなります。「初経年齢が早い」ほど、「閉経年齢が遅い」ほど乳がん発症リスクが高いと報告されています。また、出産経験がない人の乳がん発症リスクが高いことは確実で、初産年齢が高い人で乳がん発症リスクが高いこともほぼ確実です。授乳経験のない人の乳がん発症リスクが高いことも確実です。

遺伝

乳がんの5~10%は遺伝性であるといわれています。血縁者に乳がんの方がいる女性は、いない女性に比べて2倍以上乳がんを発症しやすいといわれています。遺伝性乳がんの多くでBRCA1またはBRCA2遺伝子に変異があることがわかっています。卵巣がんも発症しやすいため「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と呼ばれます。

トリプルネガティブ乳がんのステージ別・生存率

トリプルネガティブ乳がん・ステージ0の生存率

ステージ0は「非浸潤がん」といい、がん細胞が乳管・小葉の中にとどまっています。適切な治療を行えば、転移や再発することはほぼありません。トリプルネガティブ乳がんは進行が早いため、このタイミングで診断されることは稀です。症状はないことが多く、検診で発見されます。乳腺科でマンモグラフィー、乳腺エコー、造影MRI検査を行い、確定診断のために針生検を行います。全タイプの乳がんで5年生存率、10年生存率ともに100%であり、完治を望むことができます。

トリプルネガティブ乳がん・ステージ1の生存率

ステージ1はしこりが2cm以下でリンパ節転移がない段階です。ステージ0との違いは「浸潤がん」であり、転移する可能性をもつことです。全タイプの乳がんで5年生存率は99.8%、10年生存率は99.0%であり、完治を望むことができます。乳房のしこりを自覚する場合があります。ステージ0と同様に乳腺科で検査を行います。また、ステージ1以上では遠隔転移がないかPET-CT等で確認します。

トリプルネガティブ乳がん・ステージ2の生存率

ステージ2はステージ1と比べて、しこりが大きかったり、脇のリンパ節に転移があったりする状態です。ⅡA期はしこりが2~5cmでリンパ節転移がない、もしくはしこりが2cm以下で脇にリンパ節転移があります。ⅡB期はしこりが5㎝を超え、リンパ節転移がない、もしくはしこりが2~5cm以下で脇にリンパ節転移があります。全タイプの乳がんで5年生存率は95.5%、10年生存率は90.7%です。適切な治療を行うことで完治を目指します。乳房のしこりの症状があります。乳腺科でステージ1と同様の検査を行い、リンパ節転移が疑われる場合は、脇のリンパ節に針を刺す細胞診を行います。

トリプルネガティブ乳がん・ステージ3の生存率

ステージ3はステージ2と比べてリンパ節転移があり、しこりの範囲も広がっている段階です。ⅢA期はしこりが5cmを超え、脇にリンパ節転移がある、もしくはしこりの大きさにかかわらず脇のリンパ節が固定されているか胸骨の横のリンパ節転移があります。ⅢB期はしこりの大きさに関係なく、胸壁に固定されたり、皮膚のむくみや潰瘍があったりします。リンパ節転移がない場合や、脇か胸骨の横のリンパ節にのみ転移があります。ⅢC期はしこりの状況にかかわらず脇か鎖骨上にリンパ節転移がある、もしくは脇と胸骨の横にリンパ節転移があります。全タイプの乳がんで5年生存率は80.7%、10年生存率は68.6%です。ステージ2より低いですが、完治を目指して治療します。乳房のしこりや変形を認め、皮膚にがんが露出している場合もあります。検査はステージ2と同様です。

トリプルネガティブ乳がん・ステージ4の生存率

ステージ4はしこりやリンパ節転移の状況にかかわらず、他の臓器へ転移している状態です。全タイプの乳がんで、5年生存率は38.7%、10年生存率は19.4%であり、完治は難しくなります。乳がんは骨、肺、肝臓、脳に転移する傾向があります。骨に転移すれば背中や腰の痛み、肺に転移すれば息苦しさ、脳に転移すれば頭痛や麻痺などが現れることがあります。検査はステージ3と同様ですが、脳転移が疑わしい場合は頭部MRI検査を行います。

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