「直腸がん・ステージ4」の症状・治療法はご存知ですか?【医師監修】

「直腸がん・ステージ4」の症状・治療法はご存知ですか?【医師監修】

直腸がんは大腸中でも肛門に近い直腸にできるがんで、日本人の死因の中で上位を占めている注意すべき病気です。

がんの進行度合いにはステージ1~4があります。直腸がんのステージ4にはどのような特徴があるのでしょう。今回は、直腸がんステージ4の特徴と検査法や治療法も解説します。

この記事を参考にして、いざというときに備えてください。もし、本記事で当てはまることがあれば医療機関の受診をおすすめします。

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監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

直腸がんとは?

直腸がんとは直腸のがんです。大腸は、結腸と直腸よりなります。
結腸がんと直腸がんを合わせたものが大腸がんです。直腸は、肛門から10~15cm程度の長さの臓器で結腸で作られた糞便を一時的に溜める働きをしています。
日本のがん種別死亡率で見ると、大腸がんは男性が第3位、女性は第1位となっています。日本人の死因の上位になっている注意が必要な病気です。

体内でがんが広まり別の臓器への転移の可能性がある

直腸がんは直腸に接しているほかの臓器や、離れている臓器に転移する可能性があります。直腸がんは直腸の粘膜に生じるがんです。
放置していると粘膜に生じたがんはどんどんと粘膜から粘膜下層・固有筋層・漿膜下層または外層・漿膜へと進んでいきます。
すると、直腸と接している他臓器に達して転移するのです。直腸がんはリンパや血液に乗って移動して直腸と離れた場所のほかの臓器に転移することもあります。

予後不良に加え生存率は低い傾向にある

直腸がんは、再発率が高く予後不良であるといわれています。
また、生存率が低いという結果もあるがんです。直腸がんは、その進行度合いに応じて4つのステージに分けられています。

ステージ1:がんが固有筋層にとどまっている状態

ステージ2:がんが固有筋層の外まで浸潤している状態

ステージ3:リンパ節転移がある状態

ステージ4:血行性転移(肺転移・肝転移)または腹膜播種がある状態

各ステージにおける5年生存率(相対生存率)を見ると、ステージ1で97.8%でステージ2で90.2%、ステージ3で85.8%です。
しかしステージ4になると27.3%と低くなります。つまり、直腸がんは進行すると生存率が低い傾向にある病気なのです。

原発巣や転移巣の状態によって治療対応が分かれる

最初にがんが生じた場所を「原発部位」といい、その病巣が「原発巣」です。原発巣にあったがん細胞は、リンパや血液の流れにより別の場所に運ばれることがあります。
運ばれたがん細胞が別の場所に生着してできた病巣が「転移巣」です。直腸がんの治療には「原発巣」と「転移巣」の状態に応じた治療対応がとられます。
ステージ1~3においては、がんを切除できれば腹腔鏡下手術や開腹手術が一般的です。ステージ4の大腸がんにおいては、原発巣はもちろん転移巣の切除も重要で、両方切除可能な場合は両方切除する手術がすすめられるでしょう。
しかし、転移巣は切除可能で原発巣の切除が不可能な場合もあります。この場合は、薬物療法・放射線治療など手術以外の方法が原則的な治療法です。
逆に原発巣は切除可能で転移巣の切除が不可能な場合は、原発巣の切除手術をすることもあります。転移巣が切除不可能な場合に、薬物療法や放射線治療の実施も一般的です。この薬物治療で効果が出て転移巣の切除手術が可能になる場合もあります。

直腸がんのステージ4の症状

直腸がんのステージは1~4まであり、症状は前項で述べたとおりです。直腸がんは、初期ではあまり自覚できる症状がありません。しかし、進行してくると以下のような症状が出ます。

腹痛

便秘

下痢

体重減少

腹痛

がんが進行して大きくなると、大腸内を通る便の通行を妨げるあるいは出血を起こします。これが腹痛の原因です。
直腸は便を一時的に溜める役割を果たしているため、直腸部分の便の通りが悪くなると腹痛のほか嘔吐も起こしやすいといわれています。

便秘

がんが進行して大きくなり、便の通りが悪くなることが便秘の原因です。残便感をおぼえる患者さんもいます。

下痢

直腸がんが進行すると下痢も起こります。直腸が狭くなってしまうのが原因です。便秘と下痢を交互に繰り返す場合もあります。

体重減少

直腸がんが進行すると成長するがんが体の栄養を奪い、体重が減少する場合もあります。

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