「転移性肝臓がんの進行速度」はご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

「転移性肝臓がんの進行速度」はご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

転移性肝臓がんはほかの臓器から肝臓に転移してきたがんです。すでにステージ4で手術ができない例が多く、治療成績も上がりにくいというのが特徴でした。

近年では抗がん剤の進歩が著しく、切除手術との組み合わせによる治療も行われています。ほとんどが延命治療だった時代から、根治の可能性も期待できるように変化しました。

この記事では転移性肝臓がんの解説と、進行速度・治療方法の種類から将来を見通す予後因子について紹介します。がん治療に関心がある方はぜひ参考にしてください。

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監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

転移性肝臓がんとは?

転移性肝臓がんは、原発性肝臓がんに対して区別するための病名です。ほかの臓器にあったがん細胞が血液などに乗って肝臓に流れ着いてできました。そして、同じ肝臓にできる原発がんとは違う動きで増殖します。どのようながんなのか、詳しくみましょう。

ほかの臓器から転移

ほかの臓器にもともとあったがん(原発巣)が進行して、臓器の内部から周辺の血管やリンパ管に広がります。がん細胞が血液やリンパに乗って体中を巡るうち、肝臓に到達して増殖・定着したものが転移性肝臓がんです。肝臓には体中の臓器からの血流が集中するので、どの臓器にある原発巣からもがん細胞が到達する可能性があります。
その中でも肝臓に転移しやすいのは、大腸がんなど消化器のがんです。

肝細胞がんとは区別される

肝細胞がんは原発性肝臓がんの中でも多数派で、肝臓内にある肝細胞ががん化したものです。この原発性肝細胞がんと転移性肝臓がんは、元になった細胞の違いによって性質が大きく違います。
肝細胞がんは肝細胞がその場でがん化したものに対し、転移性肝臓がんは原発巣のがんが肝臓に移動したもので、性質は原発巣のがん細胞のものです。治療する際にもその違いには十分配慮する必要があり、転移性肝臓がんには原発巣に準じた治療法を適用します。

転移性肝臓がんの進行速度

がんの進行速度とは、がん細胞が分裂して増殖するスピードのことです。転移性肝臓がんは原発巣から移ってきたがん細胞が定着したがんになります。進行速度など性質は元の原発巣のものを受け継いでいて、転移性肝臓がんとしての固有の進行速度はありません。
転移性肝臓がんの原発巣は大腸がんが特に多い傾向です。大腸がんは進行速度が遅く悪性度も低い性質のため、大腸がん由来の転移性肝臓がんでも、進行速度が遅くおだやかな性質になります。

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