「胃がん・ステージ4」の症状・余命はご存知ですか?医師が徹底解説!

「胃がん・ステージ4」の症状・余命はご存知ですか?医師が徹底解説!

胃がんステージ4の治療法

胃がんの治療は、ステージ3までは外科手術が中心です。ステージ4は、遠隔転移もあり手術で十分に病巣をとり切れない、手術できないと考えられる病期です。このため、手術ではなく、薬物療法や放射線療法、対症療法が中心です。
薬物療法を行うかどうかについては、がんの進行具合を確認した上で患者さんの全身状態の確認が必要です。患者さんご本人にほかの病気や臓器障害(腎機能障害や肝機能障害など)の有無、全身状態が保たれているかが大変重要です。全身状態に関しては、患者さんの元気さをパフォーマンスステータス(PS)という指標により評価します。「歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッドの外で過ごす」~「まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える」程度の全身状態であれば、薬物療法を選択する可能性があります。しかし、これ以上に全身状態が悪い場合には、薬物療法に耐えられないと考え、薬物療法を行わずに他の治療を選択する可能性が高いです。特に高齢者の胃がんの場合には全身状態の評価が重要です。
以下に進行胃がんの治療として行われる治療法を解説いたします。

薬物療法(化学療法)

胃がんの薬物療法で使用する薬には、細胞が増殖するのを抑える「細胞障害性抗がん剤」、がんの増殖にかかわるタンパク質を標的にしてがんを攻撃する「分子標的薬」、免疫ががん細胞を攻撃する力を保たせる「免疫チェックポイント阻害薬」があります。どの薬を使用するかについては、患者さんの状態、がんの進行状況など総合的に検討して決められます。また、点滴や入院の必要性、通院の頻度なども患者さんごとに異なりますので、わからない点があれば主治医に確認をしましょう。

副作用に対しての治療

細胞障害性抗がん剤は、がん細胞だけではなく正常な細胞にも影響を与えるため、口内炎や嘔気、脱毛、下痢、骨髄抑制による白血球の減少、肝機能障害や腎機能障害などが起こることがあります。これらの副作用にはなるべく苦痛なく生活が送れるよう薬剤の減量や変更が検討されます。特に嘔気の副作用に対しては多くの対策がされ、これまでの抗がん剤よりも、症状が出にくくなっています。

緩和ケア

がんによる身体的な痛みをとることはもちろんのこと、がんになることによって生じた仕事や将来、家族への不安など、精神的な痛みを軽減させるために行うものです。がんの治療とともに身体的・精神的な苦痛があるときは、主治医へ相談しましょう。

支持療法

がんそのものによる症状や治療に伴う副作用や合併症などを軽くするために行う治療です。例えば、胃がんの進行に伴い消化管が閉塞しそうな場合には狭窄部にステントと呼ばれるチューブを入れて、消化管を広げる治療があります。また、腹水が溜まってしまいおなかが張ってつらい時に、腹水を抜く治療をします。

リハビリテーション

リハビリをすることにより、体のダメージに対する回復力を高め、身体の残存機能の維持・向上を目的とします。治療中は体を動かすことが減ってしまい、思った以上に筋力が低下して、身体機能が下がります。体に無理がかからない範囲で、運動を続けることは非常に大切です。主治医に確認をしながらリハビリに取り組みましょう。

「胃がんステージ4」についてよくある質問

ここまで胃がんステージ4の症状や余命・生存率・検査法・治療法などを紹介しました。ここでは「胃がんステージ4」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がんステージ4の平均余命はどれくらいですか?

齋藤 雄佑 医師

胃がんステージ4の方での余命を考える場合には、余命の指標として、生存率を使います。2014年~2015年に診断を受けた方の5年生存率の報告では、胃がんステージ4と診断された方のネット・サバイバル(がんのみが死因となる状況を仮定して計算された生存率)は1年で38.9%、2年で18.5%、3年で10.8%、4年で7.8%、5年で6.3%という結果でした。胃がん診断後1年以内で半数以上がなくなられています。平均余命を考えた場合には、1年に満たない可能性が考えられます。

70代以上の高齢者が胃がんステージ4と診断された場合、余命はどれくらいですか?

齋藤 雄佑 医師

70代の余命を考える場合には、上記と同様に生存率を参考に考えると良いでしょう。上でご紹介した報告では、胃がんステージ4の患者さんの平均年齢は70.3才です。このため、70代以上と限定しても大きく変化はないと考えられます。先ほどと同じく1年で38.9%と半数以上が亡くなられていることを考えると、余命としても1年の生存が非常に厳しい可能性があります。正確には、その方の全身状態により変わりますので、主治医に確認をし、自分に合った治療の選択をされることが良いでしょう。