親が70歳になり、毎年「100万円」贈与してくれるそうです。「生きているうちに」とのことですが、なにか注意点はありますか? 税金はかからないと聞きました

暦年贈与が定期贈与と見なされないための注意点

年間110万円までの贈与は、贈与時には非課税ですが、「定期贈与」と見なされてしまうと課税されます。例えば毎年100万円を10年かけて贈与した場合、「最初から1000万円を贈与する予定だったのではないか」と見なされる可能性があり、1000万円から110万円の基礎控除額を引いた890万円に対して課税されることになります。

 

そうなると、毎年分割して贈与をしてきた意味が薄れてしまうため、次項で注意点を紹介します。

 

贈与時期をずらす

毎年同じ月日にお金のやり取りがあると、定期贈与を疑われる危険性は高まるでしょう。

例えば、ある年の12月に贈与をしたのなら、次の年は12月以外の月でお金を振込むなどの工夫をするといいでしょう。

 

贈与額を一定にしない

税務署から指摘を受ける危険性を下げるため、毎年同額ではなく「ある年は100万円、翌年は70万円、その翌年は95万円」というように贈与額を毎年変化させることで、定期贈与と見なされる可能性を下げることができるでしょう。

 

非課税枠を利用し早めの贈与を

暦年贈与は非常に有効な贈与方法ではありますが、税制改正により「持ち戻し」期間が7年まで延びることが決定しました。贈与をする側の人の年齢や資金使途などを考慮し、暦年贈与と都度贈与をどのように活用するのか検討しましょう。

 

また、贈与を行う側の祖父母や両親の意思判断能力が低下してしまった場合には、贈与が認められないケースもあります。贈与は、可能な限り早めに行動することが大切です。

 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

財務省 令和5年度 税制改正の大綱

 

執筆者:小林裕

FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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