昨今、定年延長の流れを受けて、会社と60歳以降の働き方を相談する人が増えています。
定年後の働き方は、これまでと同じ企業で働く場合は定年後再雇用と業務委託、パートがメインです。本記事では、年収400万円を想定して定年後の再雇用と業務委託のどちらが得するのかについて解説します。
再雇用と業務委託の比較
まずは再雇用と業務委託の違いを比較します。
再雇用の場合
「定年後再雇用」とは、従業員が定年退職した後に、同じ企業と再び雇用契約を結ぶ制度です。
したがって、社会保険・雇用保険・労災保険は、定年前と変わりありません。
具体的には、社会保険は労使折半です。また、雇用保険は事業ごとに労使負担割合が異なります。 加えて、労災保険は全額事業主負担です。したがって、万一の場合は、傷病手当金などを受け取れます。
業務委託の場合
「業務委託」とは、企業から仕事を請け負って対価を受け取る働き方です。業務委託の場合、定年退職後は個人事業主として働きます。
したがって、社会保険は「原則全額個人負担」です。ただし、健康保険は原則2年間にわたって退職前の保険料で任意継続できます。
また、労災などの保障は自分で確保しなければなりません。
再雇用と業務委託の所得税計算方法
再雇用(会社員)と業務委託(個人事業主)では、所得税の計算方法が異なります。
再雇用の場合
再雇用(会社員)の所得税計算方法は次のとおりです。
給与収入-非課税の手当-給与所得控除=給与所得
給与所得-所得控除=課税所得
課税所得×税率-控除額=所得税額
したがって、控除できる金額には制限があります。
業務委託の場合
業務委託(個人事業主)の所得税計算方法は次のとおりです。
収入(売上など)-必要経費-所得控除=課税所得
課税所得×税率-控除額=所得税額
個人事業主の場合、会社員とは異なり課税所得の計算にあたり必要経費を差し引けます。
具体的には、会社員が仕事に必要な文具や電子機器などを自費で買いそろえても給与所得から控除できません。しかし、個人事業主の場合、業務に必要な支出は必要経費に算入でき、収入から差し引けます。
配信: ファイナンシャルフィールド