3、個人再生の失敗|再生計画案の提出が締め切りに間に合わない
個人再生の手続きは、今後の分割返済の内容を定めた再生計画案を裁判所に認可してもらうための手続きであるといえます。
抱えている借金を免除してもらう効果も再生計画の認可に基づいて生じるものだからです。
その意味で、再生計画は個人再生において最も重要なものですが、債務者自身が作成しなければならない点に注意する必要があります。
裁判所は、あくまでも債務者が作成した再生計画(案)について「認可・不認可の決定」を下すだけになります。
再生計画案は、個人再生手続きが開始された後の裁判所が指定する期日(申立てから18週目程度)までに提出しなければなりません。
この指定された期日を1日でも遅れてしまったときには、開始された個人再生手続きは必ず「廃止(途中終了)」となるので注意しましょう。
4、個人再生の失敗|再生計画案を債権者に否決されてしまう
個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つのやり方がありますが、ほとんどのケースでは小規模個人再生が選択されています。
小規模個人再生の方が返済総額が少なくなることが多いからです。
しかし、小規模個人再生においては、裁判所が再生計画を認可する前提として、再生計画案に対する債権者の同意が必要となることに注意する必要があります。
(1)債権者による同意の要件
小規模個人再生において再生計画案に対する債権者の意思は、「書面決議」によって確認されます。
この書面決議の際に、「債権者の過半数の不同意」もしくは「債権額の1/2を超える不同意」があったときには、再生計画は「否決」という取り扱いになります(したがって、積極的に賛成している債権者が過半数でなければならないというわけではありません)。
(2)書面決議で特に注意すべきケース
上で触れた書面決議に関するルールでは、特に「債権額の1/2を超える不同意」があったときには、他の多数の債権者が同意している場合でも否決となることに注意する必要があります。
たとえば、債権者が5人いたとしても、債権額最大の債権者が全体の債権額の過半数を超えているときには、最大債権者1人の不同意で再生計画案は否決されてしまうということです。
また、少額債権者が多数いるときには、「毎回(月)の返済額(返済総額)が少なすぎる」ことが理由で、不同意に回られるリスクがないわけではありません。
個人再生では、すべての債権者は同じ割合での債権の減額を求められるので、少額の債権者が回収できる金額は「ほんのわずか」になってしまうこともあり得るからです。
以上のように、実際の再生計画案は、借金の状況・債務者自身の家計状況に応じた「最善の計画」を作る必要がありますから、個人再生の経験の豊富な専門家の助言なしに作成することは難しいといえるでしょう。
配信: LEGAL MALL