個人再生における「住宅ローン特則」の仕組みと条件:弁護士が詳しく解説

個人再生における「住宅ローン特則」の仕組みと条件:弁護士が詳しく解説

5、住宅ローン特則付き個人再生で住宅ローンを解決するときの注意点

住宅ローン特則は、とても強力な借金解決方法といえます。

しかし、住宅ローン特則や個人再生も万能な手続きではないので、一定の限界があります。

(1)住宅ローン特則を利用しても住宅ローンは減免されない

住宅ローン特則を適用しても、住宅ローンの返済総額を減らすことはできません。

本来、抵当権(をはじめとした担保権)は、他の債権者よりも優先して返済を受けることが認められているとても強力な権利です。

実は、住宅ローン特則は、「抵当権者の権利行使を制限できる」という意味では、「かなり特殊な手続き」といえるのです。

したがって、「契約上の支払総額を保障する」ことは、住宅ローン特則付き個人再生において、返済条件の見直しや、ローンの巻き戻しを認めるための最低限の条件として譲れないということになります。

個人再生では、他の借金は元金の免除を受けられるため、「住宅ローンも減額される」と勘違いしてしまいやすいことに注意が必要です。

(2)住宅ローンの残額が少ないときには、個人再生を利用できない場合もある

個人再生を利用するときには、「自己破産で借金を解決する場合よりも多い金額を債権者に返済する」ことが必要です。

自己破産した場合よりも回収できる金額が少なくなるのであれば、分割での一部返済を認める利益が債権者には全くない(債権者にとって一方的に不利になる)からです。

そこで、個人再生おいて借金が減額される金額は、「清算価値(自己破産した場合の配当見込額)」を基準に決められなければなりません(清算価値保障の原則)。

この点については、住宅ローンの残額があと僅かというタイミングで、返済に行き詰まってしまったときには、清算価値保障の原則との関係で、個人再生をしても借金が全く免除されない可能性があることに注意が必要です。

いわゆるアンダーローンの場合(ローン残額よりも不動産の評価額の方が高い場合)には、そのアンダー部分が資産として見なされてしまいますから、持ち家があることによって、清算価値が押し上げられてしまうからです。

「借金がたくさん残っている方が有利な手続きが使える(ローンを頑張って返した人は有利な手続きを使えない)」というのは不思議な話なのですが、「債権者の権利を保障しなければならない(平等・公平に債務整理をする)」という最も重要な手続き的要請との関係では、どうしてもそうなってしまうのです。

6、個人再生・借金返済・住宅ローン返済に不安を感じたら弁護士にご相談ください

住宅ローンを抱えている人の借金問題は、状況が悪化しきってから弁護士にされるというケースが少なくありません。

しかし、対応が遅くなりすぎれば、それだけ住宅ローンを滞納してしまうリスクも高くなります。

また、期限の利益の喪失を通知され、保証会社によって代位弁済が実行されてからも対応できなかったというケースでは、住宅ローンを巻き戻せない可能性も生じてしまいます。

個人再生は、債務整理の手続きのうちで最も複雑な手続きなので、申立て準備にも時間を要するケースが少なくないからです。

多額の借金を抱えてしまい返せなくなった、住宅ローンが残っているがマイホームを失いたくないというときには、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理に精通した弁護士が1件1件のご相談に親身になって対応させていただきます。相談料も初回は無料なので、お困りのこと、ご不安なことがあるときにはお気軽にお問い合わせください。

関連記事: