作家・宗田理さん逝去 「肺炎」の原因・症状を医師が解説

作家・宗田理さん逝去 「肺炎」の原因・症状を医師が解説

「ぼくらの七日間戦争」をはじめとする「ぼくら」シリーズなどで知られる宗田理さんが、4月8日に「肺炎」のために死去したと報じられました。95歳でした。

今年3月13日にシリーズ最新刊を発行するなど、90歳を超えても執筆活動を続けていた宗田さん。今回、死因と報道されている肺炎とはどのような病気なのでしょうか。

この記事では、肺炎の症状や原因、種類などについて医師が解説します。

※この記事はMedical DOCにて【「肺炎」とは?症状・原因・種類についても解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)

【経歴】
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。

日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

肺炎とは

肺炎とはどのような病気ですか?

肺炎は肺の中の肺胞が炎症を起こす病気です。肺胞は小さな袋状の組織で、吸い込んだ空気から酸素を取り込み、二酸化炭素を体の外へと排出しています。
細菌やウイルスなどの病原微生物に感染して起こる肺炎がほとんどです。感染の原因となる病原微生物は多岐にわたります。薬剤性肺炎やアレルギー性肺炎など、感染以外が原因で起こる肺炎もあります。

厚生労働省の2020年の人口動態統計の概況における肺炎の死亡数は7万8450人で、全死因の第5位です。誤嚥性肺炎は第6位の4万2746人で合わせると12万1196人となり、第4位の脳血管疾患よりも多い人数です。同年における肺炎の死亡率は63.6%であり、肺炎は死亡率の高い病気といえます。

肺炎の症状

肺炎ではどのような症状がみられますか?

肺炎になると、咳、痰、息切れ、喘鳴、胸の痛みなどの呼吸器症状を中心に、発熱、食欲低下、脱水症状などの全身症状もみられます。ほかにも、疲れやすい、発汗、頭痛、腹痛、下痢、吐き気、筋肉痛などの症状がみられることもあります。重症の肺炎で呼吸困難をきたすと人工呼吸器が必要です。

高齢者の肺炎では、はっきりとした症状が出ずに、食欲が落ちている、なんとなく元気がないといった症状のみの場合もあります。

生後間もない乳児では、症状がよくみられないまま高熱やショック、チアノーゼなどが突如みられ、レントゲン検査を行ってはじめて肺炎だとわかることもあります。

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