年金の追納は、学生時代に学生納付特例制度を利用したり、所得が減少したなどの理由で年金保険料の支払い免除を受けていたりした方が、あとから支払える制度です。追納をすると、将来受け取れる年金額が増えるほか、追納した年は所得税や住民税が安くなるため保育料も安くなります。
ただし、追納を利用できる期間は猶予や免除を受けてから10年以内に限られるため、注意が必要です。
今回は、年金追納制度の概要や、年金追納により保育料が安くなる仕組みなどについてご紹介します。
年金追納とは
年金の追納制度は、学生時代に学生納付特例制度を利用したり、所得減少などによる年金保険料の免除や納付猶予を申請したりしていた方が、あとから納付していない分の年金保険料を納められる制度です。
学生納付特例制度や免除制度を利用すると、年金保険料の負担が軽くなる代わりに将来受け取れる年金額が少なくなります。
特に、学生納付特例制度はあくまで年金保険料の支払いを猶予している制度です。納付していない期間は、受給資格期間の計算には含まれるものの、老齢基礎年金の計算には含まれません。追納を利用すると、納めていない金額を納付するため将来受け取れる老齢基礎年金額が実質増えることになります。
ただし、追納が認められた月から10年以内で猶予や免除制度を利用した期間でないと利用できません。10年を超えている期間は適用されないため、なるべく早い追納が必要です。
子育て世帯が年金を追納するメリット
子育て世帯が年金を追納すると、将来の年金額が増える以外にも保育料が安くなるというメリットがあります。保育料は住民税の金額により決まり、年金の追納をすると住民税が下がるためです。
総務省「個人住民税」によると、住民税の求め方は以下の通りです。
1.所得金額から、所得控除額を引き、課税対象となる所得金額を求める
2.課税所得金額に、所得割の税率である10%をかけた後、税額控除額を引き、所得割額を求める
3.所得割額と、均等割額(5000円)を足す
年金保険料も社会保険料の一つなので、年金を追納した年はそれだけ社会保険料控除の金額も大きくなります。すると、上記の2で所得から引かれる金額も増えるため、住民税の所得割が安くなる仕組みです。
大田区「保育料の決定方法、お支払い」によると、保育料は「保護者それぞれの現年度の住民税(区市町村民税)額などの合計で決定します」とされているため、住民税が安くなると保育料も安くなるといえるでしょう。
配信: ファイナンシャルフィールド