3、個人再生手続きの流れ
では、個人再生ではどのようなことが行われるのでしょうか。手続きの流れをご紹介します。
(1)事前準備
個人再生をするには、数多くの必要書類をそろえる必要があります。
主な必要書類は以下のとおりですが、事案に応じて他にも書類が必要となることが多いです。
申立て前に裁判所または弁護士に相談して確認することをおすすめします。
再生手続開始申立書
債権者一覧表
収入一覧及び主要財産一覧表
財産目録(一覧・細目)
清算価値算出シート
家計全体の状況
可処分所得額算出シート(給与所得者等再生の場合のみ)
地方裁判所へ申立書を提出
(2)裁判所への申立て
必要書類がそろったら、裁判所へ提出することによって申立てを行います。
提出先は、債務者の住所地を管轄する地方裁判所ですので、通常は最寄りの地方裁判所へ提出すればOKです。
(3)個人再生委員との面談
申立てが受理されると、裁判所で個人再生員が選任されることがあります。
選任された場合には申立て後1週間以内を目安に、個人再生委員との面談を行います。
この面談では、財産や収入の状況、出費や生活の状況、減額後の借金を3年(最長5年)で返済していけるか、高額の財産を隠していないかなどが確認されます。
なお、東京地方裁判所では全件に個人再生委員が選任されますが、多くの裁判所では個人再生委員が選任されないことが多いです。
(4)個人再生手続の開始決定
個人再生委員との面談で特に問題がなければ、裁判所で「再生手続開始決定」が行われます。
(5)履行テストの開始
個人再生手続きが開始されると同時に、「履行テスト」が始まります。
履行テストとは、減額後の借金を継続的に返済していけるかどうかを確認するために行われるテストのことです。
再生計画が認可された場合に毎月支払うこととなる金額を、個人再生委員の指定する口座に3~6ヶ月の間、毎月振り込んでいきます。
このお金はそのまま個人再生委員の報酬(東京地裁の場合は15万円)となりますが、余ったお金があれば、再生計画の認可決定後に返金されます。
個人再生委員が選任されない場合は、裁判所の主導で履行テストが行われる場合もあります。
(6)債権届け出
個人再生手続きの開始決定は裁判所から各債権者へ通知され、債権者は裁判所へ債権の届出を行います。
債権者が届出をしない場合は、債権者一覧表に記載された債権額が個人再生手続きの対象となります。
(7)異議申立て
債権者が届出をした債権額が実際よりも多い場合は、債務者(申立人)から異議を申し立てることが可能です。
異議を申し立てると、個人再生委員が調査したり、裁判所へ「評価の申立て」を行うなどして債権額が確定されます。
(8)財産状況についての報告
裁判所が定めた期間内に、債務者(申立人)は「財産状況報告書」を提出します。
この報告書には、申立て後の財産の増減を具体的に記載します。
特に変化がない場合も、その旨を記載した報告書を提出する必要があります。
(9)再生計画案の提出
今後、どの債権者に対していくらの金額を、どのようなプランで返済していくのかという再生計画案を作成して、裁判所へ提出します。
(10)債権者による書面決議(小規模個人再生の場合)
小規模個人再生の場合は、再生計画案について債権者による書面決議が行われます。
債権者総数の過半数、かつ債権総額の過半数の反対意見がなければ、再生計画案が可決されます。
(11)再生計画案認可の決定
再生計画案が可決され(小規模個人再生の場合)、その計画通りの返済が可能と裁判所が判断した場合は、裁判所による認可決定が行われます。
(12)返済スタート
再生計画案の認可決定から約1か月後に、認可決定が確定します。
確定した翌月から、再生計画案に従って返済をスタートします。
4、個人再生手続きにかかる期間は?
個人再生手続きにかかる期間は、各裁判所における運用や個別の事案によって多少の差がありますが、おおむね以下のようになっています。
事前準備にかかる期間:数週間~数か月
申立てから再生計画案認可の確定まで:5~6か月
返済期間:3~5年
事前準備から返済スタートまでに、おおむね7~8か月ほどかかるとみておきましょう。
期間を短縮するには、事前準備を効率よく行うことと、必要書類の不備がないようにしっかりと準備すること、個人再生委員の指示に速やかに従うことなどがポイントとなります。
配信: LEGAL MALL