「大腸がんから転移しやすい場所」はご存知ですか?転移後に現れる症状も解説!

「大腸がんから転移しやすい場所」はご存知ですか?転移後に現れる症状も解説!

大腸がんが再発しやすい場所

大腸がんの手術を行い、がんを取りきれたと判断された場合でも、その後しばらくして再発することがあります。大腸がんの再発は、がんが元々あった部位の近くに起こる「局所再発」や、肝臓や肺など大腸以外の臓器に再発する「遠隔転移」があります。
大腸がんの中でも「結腸がん」と「直腸がん」では再発しやすい部位が異なります。結腸がんでは、肝臓での再発が最も多く起こります。また、腹膜転移での再発も多いです。一方直腸がんでは、肺と肝臓への転移が同じくらい多く、また局所での再発も起こりやすいです。

肝臓

結腸がんでも直腸がんでも、大腸がんの再発として、肝転移は多くみられます。肝転移は初期では症状がないことが多いです。このため定期的なチェックが必要です。
肝転移は、患者さんの体力などの状態と肝転移の範囲や場所などで手術可能と考えられるときには、手術を行います。また、化学療法を選択する場合もあります。いずれにしても、患者さんによって体力や転移の状態などはそれぞれ異なります。このため、主治医に治療の方針をよく聞いてみましょう。

局所再発

直腸がんは局所再発が起こりやすいです。切除した腸の近くで再発することが約10%程度起こります。手術で吻合した部位での再発が起こることもあります。局所再発の症状は、大腸がんと同じく、痛みや、血便、便通異常などです。しかし、症状がないこともあり、注意が必要です。術後の定期検診は必ず受けましょう。
CT、MRIなどの画像検査を行い、再発層の進展範囲を評価して、症状や、患者さんの体力など総合的に評価をして完全切除が期待できる場合には手術を選択します。そのほか、化学療法や放射線療法を選択する場合もあります。

大腸がんの再発で、肺転移がみられることもあります。特に直腸がんでは、肺への転移が多いです。肺の転移が見つかった場合、肺の転移巣の切除が可能か、全身状態が問題ないかなど、患者さんの状態に合わせて手術が可能か判断します。手術以外にも薬物療法を行うこともあります。肺転移の症状は、呼吸が苦しくなったり、咳が長引いたり、血痰が出ることなどです。このような症状がある場合には、主治医に相談をしてみましょう。

大腸がんは、がん細胞が血行性に移動し、脳転移で再発することもあります。脳転移は転移した場所にもよりますが、麻痺や痙攣、視覚障害、ふらつきなどの症状が現れ、放置すると、頭痛や吐き気、意識障害などがおこることもあります。これらの症状が大腸がん術後の経過観察中に起こるようでしたら、主治医に相談するか、脳神経外科もしくは神経内科などで相談をしましょう。
脳転移に対しては、切除が可能であれば手術をすることもあります。そのほかに、放射線療法が適応となります。

大腸がんから転移した後に現れる症状

大腸がんが転移すると、転移した場所に関連した症状が現れることがあります。これらの症状について解説いたします。

肝転移に伴う症状

肝転移に伴い、初期には症状が出ることは少ないですが、進行すると黄疸などの症状が出てきます。黄疸とは、皮膚や目の白い部分が黄色くなる症状です。肝転移により肝機能が悪くなることで、血液中のビリルビン濃度が上昇したことでみられます。おなかの右上に肝臓があり、このあたりの鈍い痛みも症状の一つです。また、肝臓の機能が低下して、だるさが出てきたり、腹水が溜まることでおなかの張りなどの症状がみられたりすることもあります。これらの症状がある場合には、主治医の先生に相談をしましょう。

肺転移に伴う症状

肺に転移した場合には、長引く咳、息苦しさや呼吸困難、ものを飲み込んだときにつかえる感じ、血痰などの症状が現れることがあります。咳に関しては、風邪などでも症状が出るため、分かりづらいですが、熱など他の症状もなく1週間以上咳が持続する場合には検査を受けた方が良いでしょう。また、息苦しさや呼吸困難、血痰は肺で何かしらの異常が起こっている可能性が高く、主治医に相談するか、呼吸器内科を受診しましょう。

腹膜転移に伴う症状

腹膜転移は初期では症状がありません。腹膜に転移したがん細胞が大きくなるとしこりとしてふれる様になることもあります。そのほかの症状は、おなかの張り、便秘、腹痛、嘔気、嘔吐などです。さらに進行すると、腸のとおりが悪くなる腸閉塞や、大量の腹水が溜まりおなかが膨れてくることで苦しくなります。このような症状が現れたときには、日常生活にも支障が出てくるため、主治医と相談しましょう。

脳転移に伴う症状

脳転移は、転移した場所により症状が異なります。また、脳卒中は突然症状が現れるのに対し、脳転移はじわじわ症状が悪くなることが多いです。症状としては、手足の力が入りにくい、言葉が出にくい、ろれつが回らない、視覚障害、けいれん、ふらつきなど多彩です。脳に腫瘍ができると周囲がむくみ、脳の容積が増え、脳が圧迫されて頭痛が起こったり、吐いたりしてしまうようになります。さらに進行すると、意識障害が起こることもあります。今までと違う症状が現れたときには、主治医に相談するか、脳神経外科もしくは神経内科を受診しましょう。

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