「大腸がんから転移しやすい場所」はご存知ですか?転移後に現れる症状も解説!

「大腸がんから転移しやすい場所」はご存知ですか?転移後に現れる症状も解説!

大腸がんから転移した後の治療法

大腸がんは、がんが血液の流れに乗って、肝臓、肺、脳などに転移を起こしやすいです。大腸がん以外のがんでは、このような遠隔転移が起こっている場合には完治が困難となりますが、大腸がんの肝転移、肺転移では適切な治療を受けることで根治を目指せる場合もあります。一方、大腸がんは手術後ある程度の期間がたってから転移が見つかることも少なくないため、長期にわたって転移の有無を定期的にチェックする必要があるがんでもあります。

外科手術

大腸がんの転移は転移巣が切除可能な場合には切除を行います。特に肝転移や肺転移では大腸の原発巣とともに転移巣も切除が可能な場合には、癌を取り切ることを目指して外科手術を行います。しかし、切除が困難な場合には、転移巣に対しては手術以外の方法を用います。

化学療法

大腸がんに対しての化学療法では「細胞障害性抗がん薬」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」を単独あるいは組み合わせて使います。「細胞障害性抗がん薬」は、細胞が増殖するのを邪魔してがん細胞を攻撃する薬です。「分子標的薬」は、がん細胞の増殖にかかわる蛋白などを標的にがん細胞を攻撃します。「免疫チェックポイント阻害薬」は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬です。これらの薬の組み合わせは、治療の目的や癌の状態、患者さんの全身状態などにより検討されます。

放射線療法

切除が可能な直腸がんでは、骨盤内の再発を抑える目的に術前照射を行うことがあります。これを補助放射線治療といいます。また、直腸がんの腫瘍による痛みや出血などに対してや、骨への転移による痛みや骨折予防、脳転移による嘔気、めまいなどの神経症状を改善する目的に行われる緩和的放射線治療があります。

「大腸がんから転移しやすい場所についてよくある質問

ここまで大腸がんから転移しやすい場所などを紹介しました。ここでは「大腸がんから転移しやすい場所」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんはどこの部位に転移しやすいですか?

和田 蔵人 医師

大腸がんは、肝臓、肺、脳、腹膜に転移をしやすいです。これらの場所を中心に定期的に再発がないかチェックをする必要があります。

大腸がんは転移する確率が高い疾患なのでしょうか?

和田 蔵人 医師

大腸がんは他のがんと異なり、転移の広がりが遅いのが特徴と言われています。他のがんでは一か所転移が見つかると、すでに全身に転移していることが多いですが、大腸がんでは、ある程度のがん転移があったとしても切除可能であれば長期生存も期待できると考えられています。しかし、転移の広がりが遅いことが一因となっているためか、手術後ある程度の期間がたってから転移が見つかることも珍しくありません。大腸がんは手術で完全に切除しても、一定の割合で再発が起こるため転移する確率が高い様に思われるのかもしれません。5年程度の定期的な検査で再発、転移がないかを調べることが非常に重要です。

大腸がんが再発しやすい人の特徴を教えてください。

和田 蔵人 医師

大腸がんの進行が進むにつれて再発しやすくなります。粘膜内癌であれば転移は起こりません。がんを完全に切除できれば再発は起こりません。しかし、粘膜下層まで浸潤していると再発率は約1%、固有筋層まで浸潤すると再発率約6%、ステージⅡの再発率で約13%、ステージⅢの再発率は約30%となっています。このため、がんの進行が進んでいる場合には、完全にとりきれたと思っても注意が必要です。また、再発の約85%は手術後3年以内に、95%以上は術後5年以内に見つかります。手術をして5年以内の方は、再発の可能性を考えて定期的に検査を受ける必要があると言えます。

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