「肝臓がんの症状をチェック」する方法はある?予防法も解説!医師が監修!

「肝臓がんの症状をチェック」する方法はある?予防法も解説!医師が監修!

肝臓に関する病気は早期発見が難しいため、手遅れになってしまうと聞いて不安に感じた方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、肝臓は別名「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状が出にくい傾向にあります。しかし、肝臓がんの症状チェック法を行うことで早期発見と早期治療に繋げることが可能です。

本記事では肝臓がんのチェック法・検査法・予防について詳しく解説します。

ぜひ参考にしてください。

≫「肝臓がんの前兆となる4つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肝臓がんとは?

肝臓がんには3つの特徴があります。

沈黙の臓器といわれ異常が分かりにくいがん

肝臓の慢性的な炎症から発症に繋がる

日本で発症する肝臓がんは9割肝細胞がんとされる

1つ目は肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、症状が出にくく異常がわかりにくい病気であることです。肝臓は体中で大きいといわれる臓器であり、肝臓にできるがんにはいくつかの種類があります。
大きく分類されるのはがんが肝臓で生じる原発性肝がんと、ほかの臓器から肝臓にがんが転移した転移性肝がんの2種類です。さらに、原発性肝がんは2種類に分けられます。

肝細胞がん

肝内胆管がん

肝細胞がんは肝臓細胞ががん化したもので、肝内胆管がんは肝臓内の胆汁を運ぶ役割を果たす胆管ががん化したものです。
肝臓がんは一般的に「肝細胞がん」のことを指し、肝がんとも呼ばれます。特徴の2つ目は、肝臓がんが慢性的な炎症からがんの発症に繋がるといわれていることです。慢性的な炎症は以下の通りです。

肝炎ウイルス感染

多量飲酒

喫煙

アフラトキシン(カビから発生する毒素の一種)

肥満

糖尿病

肝炎ウイルス感染とは、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)を指します。肝炎ウイルスに持続感染して長期間体内にウイルスが留まり、肝細胞が炎症と再生を繰り返します。
すると遺伝子の突然変異が積み重なり、慢性肝炎から肝硬変(肝臓が硬くなってしまう状態)になるのです。
肝硬変を引き起こすと、肝臓がんを発症するリスクが高まります。近年問題視されているのは、肝炎ウイルス感染を伴わない肝細胞がんの増加です。
肝炎ウイルス感染を伴わない肝細胞がんは、メタボリック症候群の肝病変とされる「非アルコール性脂肪性肝障害」が原因であると注目されています。
特徴の3つ目は、日本で発症する原発性肝がんの約90%は肝細胞がんであることです。肝臓がんは50歳代から増え始め、発症率が高まるのは80〜90歳代です。
男女の罹患率を比べると、2:1で男性の方が多い傾向にあります。2000年以降では、男女ともに罹患率・死亡率ともに減少傾向がみられるとされていますが、油断は禁物です。

肝臓がんの症状チェック法

次は、症状チェック法を説明します。チェックするポイントは3つです。

肝硬変を罹患したことがあるか

体のむくみやだるさがあるか

腹部の圧迫感や痛みはあるか

では、それぞれ解説しましょう。

肝硬変を罹患したことがあるか

1つ目は、肝硬変を罹患したことがあるかどうかです。一度でも肝硬変を発症していれば、再発率が高い傾向にあります。肝臓は再生能力が高い臓器でもあり、ウイルスの排除や炎症を抑えることで肝臓に溜まった線維が溶けます。線維が溶けることで硬くなった肝臓がゆっくり時間をかけて元に戻るのです。
しかし、再生能力が高い肝臓といえど、完全に元通りに回復することは難しいでしょう。肝臓が硬ければ硬いほど、肝臓がんを発症するリスクが高まることに留意してください。

体のむくみやだるさがあるか

2つ目は、体のむくみやだるさがあるかどうかです。肝臓がんが進行すると、肝機能低下に繋がります。肝機能低下によって引き起こされる症状は以下の通りです。

疲れやすい

倦怠感がある

足がむくむ

お腹が張る(腹水)

こむら返りが起こる

上記の症状は、肝機能が低下すると水分と塩分のバランスが崩れて、下半身に体液が溜まることで発生します。足がむくんで痛い・こむら返りになることが増えたなどの症状を自覚した場合には注意が必要です。
また、肝機能低下が低下すると便秘や脱水症状に繋がる可能性が高く、最悪の場合には意識障害を引き起こすこともあります。

腹部の圧迫感や痛みはあるか

3つ目は、腹部の圧迫感や痛みがあるかどうかです。体のむくみやだるさがあるかでも先述している通り、肝機能が低下することで腹水・便秘を引き起こすことがあります。
腹部の圧迫感や痛みが続いているようであれば、注意が必要です。まだ圧迫感や痛みを感じていない場合でも、疲れやすい・倦怠感がある・排便の回数が減ってきているなどの症状を感じたら病院への受診をおすすめします。

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