飲食業なのに「きつい香水」をつける社員にイライラ…「臭い」と言ったらハラスメント認定される?

「飲食業なのに香水をつけてくる社員がいるが、臭いと伝えたらハラスメントになるのでは?」とお悩みの方がいるかもしれません。
 
香りの感じ方には個人差があるため、なかなか注意しづらく困ってしまうこともあるでしょう。
一方で、飲食業において強い香りは、お客さまにも迷惑がかかるかもしれない問題です。
 
そこで今回は、飲食業で香水をつけていいのかについてと、ハラスメント認定されにくい伝え方を解説します。

飲食業で働く場合は香水を控えるなどの配慮が必要

飲食業での香水は、一般的にあまりよくないとされています。

なぜならお客さまのなかには、料理の味だけでなく風味や香りを楽しむ方もいるからです。

料理をおいしく楽しむためには、料理の香りを邪魔しない環境づくりが大切といえるでしょう。

職場によっては、香水の使用を禁止している飲食店もあるかもしれません。

 

もちろん強い香りは、香水だけではありません。

整髪料やたばこ、ハンドクリームなどの香りにも注意を払いましょう。

 

近年では「スメハラ」や「香害」といった言葉もあり、飲食店のみならず強い香りで他人に不快感を与える(無意識のパターンもある)といった行為も問題視されているようです。

故意でなくても、シーンや場所によっては香水を控えたほうがいい場合もあるといえるでしょう。

 

万が一お客さまに不快な気持ちを与えてしまった場合、お店の評価につながり売り上げが下がる恐れも考えられます。

飲食店にとってお客さまからの口コミは売り上げに直結する要素の一つですので、このような理由からも香水の使用には配慮したほうがいいといえるでしょう。

 

ハラスメント認定されないための伝え方

近年ビジネスシーンにおいて、さまざまなハラスメントが問題となっているようです。

代表的なものとして、「パワーハラスメント(以下パワハラ):高圧的な態度をとるなど」「セクシュアルハラスメント:性的な言動など」があります。

 

そのなかでもパワハラは主に、次の3つの要素を満たした場合に認められるおそれがあります。

●優越的な関係を背景とした言動

●業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

●労働者の就業環境が害されるもの

反対に、客観的に見て業務上必要で、相当な範囲で行われる適正な業務の指示や指導についてはパワハラには該当しないとされています。

 

社員に注意を行う際は上記のことをふまえて、上司である立場を誇示せずに、業務に関係あることだけを伝えることがポイントです。

故意でなくても、相手にハラスメントと捉えられてしまいそれが認められてしまうと、責任を問われ、損害賠償や慰謝料を請求される恐れがあります。

実際に、パワハラが原因で数十万円~数百万円の慰謝料や損害賠償が請求された事例があるようです。

 

ここで、厚生労働省が公表する「パワーハラスメントにならない指導のポイント」を5つご紹介します。

●問題となる具体的な行動や内容に焦点を絞る

●感情的にならない

●人格や性格を否定しない

●どのように改善点すべきかを伝える

●部下にどのように伝わったかを確認する

大きな声で罵倒したり、大勢の前で注意したりすることは、パワハラととらえられるおそれがあるため注意しましょう。

感情的にならずに、注意したい点だけに焦点をあてて伝えるよう心がける必要があります。

 

今回のケースでいえば、まずは職場全体に対して注意を促してみましょう。

個人あてではなく「全体で意識しよう」とすることで、社員自ら改善する可能性もあります。

それでも改善が見られない場合には、個別で仕事中の香水について話してみましょう。

この際ただ単に「臭いです」と言うのではなく、プライバシーに配慮すること、あくまで「香水のにおい」について伝えることが大切です。

 

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