「うちは児童手当をもらっていないの」とママ友から言われれば「年収が高いのかな?」と考える人は多いのではないでしょうか。しかし、児童手当をもらっていないことが、必ずしも年収が周りよりも高いことを示すわけではありません。
本記事では、児童手当の所得制限の仕組みを解説するとともに、児童手当をもらっていない理由として考えられるケースについてまとめました。
児童手当の所得制限限度額は家族構成などで異なる
児童手当には所得制限限度額が設けられており、手当を受給する養育者の収入が限度額以上あると、児童手当は支給されなくなります。ただし、収入が別途設けられた所得上限限度額未満であれば、特例給付を受け取れます。
所得制限限度額・所得上限限度額は一律ではなく、対象の児童を含む扶養親族等の数によって決まるものです。扶養親族等の数ごとの所得制限限度額、所得上限限度額と給与収入に換算した場合の目安を、図表1にまとめました。
【図表1】
扶養親族等の数 | 所得制限限度額 | 所得上限限度額 | ||
---|---|---|---|---|
所得制限限度額 | 給与収入の目安 | 所得上限限度額 | 給与収入の目安 | |
0人(前年末に児童が生まれていない場合など) | 622万円 | 833万円 | 858万円 | 1071万円 |
1人 | 660万円 | 876万円 | 896万円 | 1121万円 |
2人 | 698万円 | 918万円 | 934万円 | 1162万円 |
3人 | 736万円 | 960万円 | 972万円 | 1200万円 |
4人 | 774万円 | 1002万円 | 1010万円 | 1238万円 |
5人 | 812万円 | 1040万円 | 1048万円 | 1276万円 |
こども家庭庁「児童手当制度のご案内」より筆者作成
図表1を見ると分かるように、扶養親族等が5人以下で給与収入のみの親の場合、児童手当が支給されなくなるボーダーラインは年収833~1040万円が目安です。児童手当をもらっていない家庭は、年収1200万円以上ある可能性もありますが、それよりも大幅に低い可能性もあると言えます。
また、特例給付のボーダーラインを見ても、収入の目安には幅があります。扶養親族等が3人以上(片働き子ども2人、共働き子ども3人など)の家庭であれば、支給が止まるボーダーラインは年収1200万円以上ですが、扶養親族等が2人以下であれば、年収が1200万円未満でも特例給付の支給を受けられなくなります。
「児童手当をもらっていない」という1点のみでは、その家庭の年収を推し量ることはできないのです。
児童手当から市町村が保育料などを徴収するケースもある
児童手当をもらっていない理由として年収以外に考えられるのが、保育料や給食費などを市区町村が天引きしていて、手元に入る金額が0のパターンです。
各市区町村は、独自の判断で児童手当から保育料を徴収できます。幼稚園や保育園は無償化された部分があるとはいえ、子どもの年齢などの条件によっては利用料がかかります。また、受給者が申し出れば、学校給食費などを市区町村が児童手当から徴収することも可能です。
児童手当が全額天引きされていれば「手当をもらっていない」と言える状況になることも考えられるでしょう。
配信: ファイナンシャルフィールド