週末に「実家の酒屋」を手伝っているという娘の先生。「公務員」は副業NGではないの?

近年耳にすることが多い副業ですが、収入を増やすため、スキルアップのためなど、副業を行う理由はさまざまです。
 
今後、副業を許可する会社もさらに増えていくでしょう。
 
一方で、公務員は「副業NG」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
 
そこで今回は公務員の副業はNGなのか、公務員の副業に該当する具体例について解説していきます。

公務員の副業はNG?

公務員の副業は必ずしもすべてNGというわけではなく、許可をとることで行える兼業(副業)もあります。

 

国家公務員と地方公務員の兼業について、制限されているものと、許可をとることで可能なものを表1にまとめました。

 

表1

国家公務員 地方公務員
制限されている兼業 ・営利企業の役員
(報酬の有無を問わない)
・自ら営利企業を営むこと
・特になし
許可が必要な兼業 ・営利企業の役員等以外のあらゆる事業・事務 ・営利団体の役員等
・自ら営利企業を営むこと
・報酬を得て事業または事務に従事すること

※内閣官房内閣人事課「国家公務員の兼業について」、総務省「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」を基に筆者作成

 

国家公務員は、国家公務員法第96条第1項により「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」としています。

 

本来の職務の遂行に支障が出ないよう、職務の公平性を確保でき、職務の品位を損ねないことを目的に、兼業に関する規定が設けられているようです。

 

総務省の「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」によると、平成30年度の兼業認可件数は約4万件でした。 

 

地方公務員の職員数274万人(平成30年当時)に対してわずか1.5%と、兼業している地方公務員はまだまだ多くないのが現状のようです。

 

副業(兼業)に該当する具体例

地方公務員の兼業に該当するケースには、次のようなものがあります。

・配偶者の経営する店舗の共同経営

 

・勤務時間外のアルバイト

 

・大学の非常勤講師

 

・雑誌への定期的な記事の連載

 

・余っている土地へ賃貸アパートを建てて収入を得ること

こうしたケースでも、管轄長の許可が下りれば兼業として認められ、問題なく活動できることもありますが、職務上の利害関係がある業者とのやりとりは原則禁止されています。

 

兼業を無断で行ってしまった場合、懲戒処分に科されるおそれがあります。

 

今回のように、学校の先生が実家の酒屋を週末に少し手伝いをする程度であれば、兼業にはあたらない可能性が高いでしょう。

 

しかし、手伝いの見返りとして報酬をもらったり、定期的な手伝いを超えて実質的に経営に携わったりした場合には、兼業とみなされるおそれがあります。

 

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