無脾症候群の前兆や初期症状について
無脾症候群では、特に心臓の構造異常に関連した症状が中心となります。
代表的な心臓の異常として、心臓の左右の部屋の分かれ方が不完全な「単心房」や「単心室」、心臓の弁が1つになっている「共通房室弁口」、肺に血液を送る肺動脈が狭くなったり塞がったりする「肺動脈閉鎖・狭窄」などが挙げられます。
こうした異常があると、肺に十分な血液が届かなくなり、皮膚や粘膜が暗紫色になる「チアノーゼ」という症状があらわれます。また、心臓の弁がうまく閉じないことで血液が逆流し、呼吸が速くなる、胸のあたりがへこむ、母乳やミルクをうまく飲めない、といった心不全の症状がみられることもあります。これらの症状は、出生直後からみられることが多いですが、なかには乳幼児期以降にあらわれるケースもあります。
さらに、脾臓がないため免疫の働きが弱まり、感染症にかかりやすくなる点も特徴です。とくに肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などの細菌に感染すると、髄膜炎や敗血症といった重い病気を引き起こしやすくなります。髄膜炎や敗血症では、発熱、頭痛、嘔吐、心拍数や呼吸数の増加、けいれん、意識障害などの症状があらわれ、重症化すると命に関わることがあります。
そのほか、無脾症候群では消化管の異常を合併することもあり、これにより腸閉塞や胆道閉塞が起こることもあります。
無脾症候群の検査・診断
無脾症候群は、画像検査や血液検査などの結果をもとに診断されます。とくに画像検査は診断において重要な役割を担っており、脾臓の有無や内臓の位置は、腹部超音波検査、CT、MRIなどを用いて確認されます。
心臓や血管の異常が疑われる場合には、心エコー検査や造影CTが行われます。これにより、心臓の部屋の数や構造、弁の状態、血液の流れなどを詳しく調べることが可能です。
また、脾臓がない場合は、血液検査で「ハウエル・ジョリー小体」と呼ばれる特徴的な赤血球が確認されることがあります。これは、脾臓が正常に機能していない、あるいは存在しないことを示す重要な手がかりとなります。
これらの検査結果を総合的に判断することで、脾臓の有無だけでなく、心臓や内臓の構造的な特徴が明らかになり、無脾症候群の診断につながります。
また、出生前の検査として胎児超音波検査(胎児エコー)を行うことで、胎児期に脾臓の有無や心臓の構造異常、その他の内臓異常を発見できる場合もあります。

