無脾症候群の治療
現時点では、無脾症候群そのものに対する根本的な治療法は確立されていません。そのため、治療の中心は合併する心臓の異常に対する治療となります。
一般的には、成長段階に応じて複数回の心臓手術が行われ、最終的にはひとつの心室で全身の血液循環を担うことができるように、「フォンタン手術」と呼ばれる手術の実施を目指します。
具体的には、新生児期から乳児期にかけて「体肺シャント手術」「両方向性グレン手術」などが、フォンタン手術の前段階の手術としておこなわれます。ただし、手術の種類や時期の選択は患者さんの状態によっても異なるため、治療方針は個々の患者さんの状態に合わせて慎重に検討されます。
いずれの段階の手術も容易ではありませんが、フォンタン手術までおこなうことができれば、患者さんの生活の質や生命予後の大きな改善が期待できるとされています。
ただし、無脾症候群では脾臓がないことで重篤な細菌感染症を起こしやすくなるため、ヒブワクチンや小児肺炎球菌ワクチンなどの予防接種が重要です。感染症の兆候がみられた場合には、速やかに医療機関を受診し、早期に治療を開始する必要があります。
無脾症候群になりやすい人・予防の方法
無脾症候群の発症に関与する明確な環境や要因は、現時点で明らかになっていません。一部では、遺伝子の異常が関係している可能性が示唆されていますが、家族内で無脾症候群を発症するケースはまれです。
一般的な先天性心疾患と同様に、無脾症候群と診断された人では先天性疾患のある子どもが生まれる可能性はやや高くなりますが、必ずしも無脾症候群を発症するとは限りません。
無脾症候群そのものを完全に予防する方法は確立されていませんが、妊娠中に胎児の状態を詳しく調べることで、出生前に心臓の異常などを発見できる可能性があります。妊婦健診を定期的に受診し、必要に応じて胎児超音波検査(胎児エコー)を受けることが、早期発見につながります。
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参考文献
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター 無脾症候群(指定難病189)
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター 概要・診断基準等 多脾症候群 無脾症候群
日本胎児心臓病学会 日本小児循環器学会 胎児心エコー検査ガイドライン(第2版)

