アスペルギローマの治療
アスペルギローマの治療は、患者さんの症状や全身状態に応じて決定されます。症状がほとんどない場合には、定期検査を行いながら治療せず様子を見る選択肢もあります。
外科的治療
喀血の症状が強い場合や放置するとリスクが高いと判断される場合には、外科的治療が第一選択です。手術では病変部位の肺を切除し、肺内の菌塊と空洞部分を取り除くことで完治が期待できます。ただし、肺の基礎疾患があり呼吸機能が低下している人や、高齢で体力が低い人では手術が難しいこともあります。
気管支動脈塞栓術
大量の喀血が生じた緊急時には、気管支動脈塞栓術というカテーテルを用いた止血術が行われることもあります。太ももまたは手首の動脈からカテーテルを挿入し、喀血の原因となる気管支動脈を塞ぐ処置を施します。
内科的治療
手術が難しい場合や病変が複数に及ぶ場合には、抗真菌薬(抗カビ薬)による内科的治療が中心となります。抗真菌薬は内服または点滴で長期投与します。アスペルギローマを完治させる薬はありませんが、菌の増殖を抑えて病状の進行や合併症を防ぐ効果が期待できます。
アスペルギローマになりやすい人、予防の方法
肺結核の後遺症として肺に空洞が残っているような人は、アスペルギローマを発症しやすいと言われています。非結核性抗酸菌症やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺線維症、過去の肺手術歴がある人も発症リスクが高まります。
アスペルギローマを予防するにはアスペルギルス菌の体内への侵入を防ぐことが大切です。ホコリやカビの多い場所はできるだけ避け、必要な場合はN95などの効果的なマスクを着用しましょう。
室内では風通しを良くし、湿気を抑えてカビの繁殖を防止します。エアコンや浴室に生えたカビは早めに掃除し、肺の防御機能を弱める喫煙も控えることが望ましいです。
関連する病気
侵襲性肺アスペルギルス症
慢性壊死性肺アスペルギルス症
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症副鼻腔アスペルギルス症(副鼻腔アスペルギローマ)
肺結核後遺症
非結核性抗酸菌症
慢性閉塞性肺疾患参考文献
空洞内の菌球を確認し得た肺アスペルギローマの2例/気管支学/42巻/5号/2020/p.448-455
中枢側気管支腔内に発症したアスペルギローマの1例/32巻/4号/2010年/p.327-331
原発性肺アスペルギローマの1切除例呼吸器外科/22巻/4号/2008年/p.63-67
治療に難渋した肺アスペルギローマの1例/呼吸器外科/21巻/7号/2007年/p.68-72
肺アスペルギルス症に対する術後抗真菌薬の必要性に関する検討/日本呼吸器外科学会/27巻/7号/2013年/p.19-25
一般内科医が見落としたくない難治性感染症の診断と治療 3)肺アスペルギルス症/日本内科学会/110巻/9号/2021年/p.1808-1814
Aspergillosis/Medical Mycology Journal/52巻/2号/2011年/p.97-105
肺真菌症昭和学士会雑誌/77巻/6号/2017年/p.690-697

