甲状腺がんの前兆や初期症状について
甲状腺がんの自覚症状は乏しく、気が付かないことも珍しくありません。腫瘍以外に特徴的な症状は特にありませんが、病気が進行すると嗄声(声のかすれ)が起こる場合があります。腫瘍がかなり大きくならないと喉付近の違和感は感じず、甲状腺機能亢進症や低下症の頻度も高くありません。
甲状腺に発生する悪性腫瘍の前兆や初期症状が見られた場合に受診すべき診療科は、内分泌内科、耳鼻咽喉科、内分泌外科です。甲状腺に発生する悪性腫瘍であり、内分泌内科や耳鼻咽喉科や外科で診断と治療が行われています。
甲状腺がんの検査・診断
甲状腺がんは自覚症状に乏しく、偶然発見されることも多いですが、良性腫瘍との鑑別が困難な場合も多い傾向です。
基本的には良性の甲状腺腫瘍と同じ検査が行われます。
問診・視触診
医師が甲状腺やその周辺を観察し、直接触って腫瘍や腫れの有無を確認します。
具体的には、周囲組織に腫瘍が固定されている、頸部リンパ節に触れる、硬い腫瘍に触れる、といった触診の所見が診られることがあります。
触診で腫瘍が発見された場合、悪性である(甲状腺がんである)頻度は5〜17.0%と報告されています。
また、飲み込みにくさや嗄声(声の枯れ)といった症状の有無や、病歴、家族歴、過去の放射線被ばくの有無も確認します。
血液検査
甲状腺全体の状態を確かめるため、採血して以下の項目を調べます。
サイログロブリン
良悪性問わず濾胞細胞から発生した腫瘍がある場合、甲状腺の炎症などで高値になることがあります。
カルシトニン
髄様がんで高値になることがあります。
甲状腺ホルモン(FT4)
全体の代謝に関わるホルモンで、甲状腺の機能を調べるために検査することがあります。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
甲状腺ホルモンの分泌を促進するホルモンで、悪性腫瘍のうち乳頭がん、濾胞がんの増殖因子として検査することがあります。
腫瘍マーカー
髄様がんではCEA(がん胎児性抗原)、甲状腺全摘後はカルシトニン、甲状腺全摘後の分化がんではサイログロブリンが腫瘍マーカーとして用いられることがあります。
超音波検査
超音波の跳ね返りを画像にして甲状腺を確認し、大きさや腫瘍の状態を調べます。周りのリンパ節への転移の有無も調べられる検査です。経過観察の際は超音波検査で腫瘍に変化がないか確認します。
放射線被ばくがないため繰り返し安全に行え、妊娠中や授乳中の方でも問題なく受けられます。
細胞診
超音波の画像をガイドにして甲状腺を確認しながら腫瘍に針を刺して細胞を採取し、良性か悪性か顕微鏡で調べる検査です。「穿刺吸引細胞診検査」とも呼ばれます。
細胞診で大半の腫瘍について良悪性が判定可能ですが、顕微鏡でもほぼ同じように見えてしまうため、濾胞がんと濾胞細胞は診断できません。
濾胞がんが疑われる腫瘍は、手術で摘出した組織を調べる組織診を行います。
甲状腺シンチグラフィ
微量の放射線を出す医薬品を内服し、24時間後に微量の放射線を測って画像化します。
甲状腺では、甲状腺シンチグラフィで機能や形状を調べ、多臓器への転移の有無を確認するために腫瘍シンチグラフィを行います。
CT、MRI
CTはX線、MRIは強力な磁気を利用して身体の断面を画像化する検査です。甲状腺がんの広がりや深さの程度、リンパ節転移の有無を確認し、主にステージ(病期)を診断するために行います。

